経団連くりっぷ No.154 (2001年9月13日)

日本メキシコ経済委員会(委員長 川本信彦氏)/7月5日

日墨自由貿易協定の早期締結により、一層の経済関係拡大を望む

−カルロス・デイカサ駐日メキシコ大使よりメキシコの政治・経済情勢についてきく


日本メキシコ経済委員会では2001年度定時総会を開催し、2000年度事業報告・収支決算、2001年度事業計画・収支予算を審議し、承認した。当日は、デイカサ駐日メキシコ大使より、最近のメキシコの政治経済情勢と日墨経済関係について説明をきくとともに懇談した。

  1. デイカサ大使説明要旨
    1. 経済情勢
    2. メキシコ経済は安定と成長を目指しており、その成果が良好な経済指標となって現れている。2000年までの5年間を見ると、経済成長率は年平均5.5%、外国投資受入額は年平均120億ドルを記録している。2000年のインフレ率は8.9%、2001年は6.5%に低下すると予想している。失業率は年々減少しており、2001年4月は2.26%と低水準にある。このようにメキシコ経済ファンダメンタルズはしっかりしており、世界経済の成長鈍化にも十分適応することができる。

    3. 対外関係
    4. メキシコは、経済開放の努力を続けてきた。これまで、GATT加盟、31ヵ国との自由貿易協定の締結を行い、現在FTAA(米州自由貿易地域)に取り組もうとしている。その結果、メキシコの輸出は1990年の407億ドルから1,664億ドルに急拡大した。また、NAFTA(北米自由貿易協定)発足後、米国とカナダとの貿易はそれぞれ3倍以上伸びた。中南米諸国との貿易も順調に拡大し、対チリ貿易は8年前と比べて600%増加した。
      メキシコは輸出品の多様化を進めている。2000年の輸出全体に占める製造業の割合は、電子電気機器や自動車・自動車部品を中心に87%を占めており、かつて主要な輸出品であった石油や鉱物は10%に低下している。農産品は3%にすぎない。

    5. 対日関係
    6. 両国間の貿易額は、2000年に76億ドルを超えた。日本はメキシコにとってアジア最大の貿易相手国であり、また最大の直接投資国である。日本企業は、製造業のみならず、エネルギー部門の各種プロジェクトや金融分野にも、積極的に参入している。
      今年6月のフォックス大統領の訪日では、小泉首相はじめ政財界のリーダーと、有意義な意見交換を行ったが、最大の成果は両国首脳が、日墨自由貿易協定締結の可能性を探るワーキンググループ設置に合意したことである。日墨自由貿易協定が締結されれば、両国間の貿易関係はより一層拡大・強化されるであろう。

  2. 質疑応答(要旨)
  3. 経団連側:
    フォックス政権誕生によって与党が交代したが、その影響はあるか。

    デイカサ大使:
    政権交代があっても、諸制度の改革は難しいとする意見もあった。しかし、制度改革は実現した。これからのメキシコは、大統領や政党によって統治のあり方が左右されるものではない。メキシコは経済の国際化を進めるとともに、政治面でも成熟しつつある。

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