経団連くりっぷ No.154 (2001年9月13日)

日本ベネズエラ経済委員会・日本コロンビア経済委員会(委員長 槙原 稔氏)/8月9日

最近のベネズエラ、コロンビア情勢

−外務省 西林中南米局参事官よりきく


日本ベネズエラ経済委員会と日本コロンビア経済委員会では2001年度総会を合同で開催し、2000年度事業報告・収支決算、2001年度事業計画・収支予算を審議し、承認した。当日は、外務省中南米局の西林万寿夫参事官より、最近のベネズエラ、コロンビアの政治経済情勢等につき説明をきくとともに懇談した。

○ 西林参事官説明要旨

  1. ベネズエラ情勢
    1. チャベス大統領は1999年2月の就任後、公約に掲げた憲法改正に取組み、同年12月の国民投票で新憲法を承認した。その後、新憲法に基づき、2000年9月にいわゆるメガ選挙を実施し、再選された。新憲法下では大統領の任期が5年から6年に延長され、議会も二院制から一院制になった。

    2. 外交面では、従来の米国一辺倒の外交政策から、キューバ、リビア、イラン、イラク、ロシア、中国等との関係を強化し、米国とは若干距離を置いている。

    3. 政権の今後の見通しとしては、原油価格が下落すれば、経済の悪化を招き、支持率が低下することも考えられる。現在のところ有力な後継者もいないことなどから、少なくとも原油高が続く間は安泰だと思われる。

    4. 経済面では、原油高による経済成長が続いているほか、インフレ率の低下も見られる。一方、依然として失業率が高く、経済改革は進んでいない。インテリ層が、国に見切りをつけて国外に流出している。

    5. 日本との関係は、石油を中心としたものとならざるをえない。ベネズエラは22世紀まで石油の出る国であり、中長期的な石油供給源として重要な国である。

  2. コロンビア情勢
    1. 国内では内戦が続いている。FARC(コロンビア革命軍)、FLN(国民解放軍)がゲリラの2大勢力といわれている。その他、パラミリタリー(極右私兵組織)も勢力を拡大しており、抗争は泥沼化している。

    2. 2002年5月の大統領選については、自由党主流派のセルパ元内相、国民に人気の高い女性のサニン元外相、自由党右派のウリベ氏などの名前があげられている。まだ拮抗状態にあり、見通しはついていない。

    3. 経済面では、石油、石炭やコーヒーに恵まれ、かつては対外債務の繰り延べのない国であった。しかし、いまでは国内避難民が200万人にも上っており、その数はスーダン、アンゴラに次いでいる。失業率も高水準であるほか、ゲリラによるインフラ破壊や、税の強制徴収もあり、資本や人材が国外に流出し、大きな経済的損失を被っている。国内紛争がなければ、経済成長は今後10年で2倍になるといわれている。

    4. 治安面では、国内のほとんどが、危険度2〜3であり、世界の中でも要注意の国の一つである。日本政府としては、2月に発生した邦人の誘拐事件の解決に努めるとともに、国内の和平プロセスを支援したい。


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