経団連くりっぷ No.154 (2001年9月13日)

環境安全委員会地球環境部会(部会長 寺門良二氏)/8月8日

京都議定書大枠に合意、細則はCOP7へ

−COP6再開会合の結果について


7月16日〜27日、ボンで開催されたCOP6(気候変動枠組条約第6回締約国会議)再開会合の結果について、交渉に参加した環境省の竹本和彦 地球環境審議官補佐官より説明をきいた。竹本補佐官によると、同会合では、京都議定書の運用ルールの大枠について政治合意が成立したが、シンク、京都メカニズム、遵守などに関する細則については、10月に予定されるCOP7会合に持ち越されることとなった。

○ 竹本補佐官説明要旨

  1. 京都議定書の大枠につき政治合意
  2. 7月16日〜27日、ドイツのボンにおいて、COP6再開会合が開催された。日本からは、川口環境大臣、植竹外務副大臣、朝海大使らが出席した。
    19日〜23日に行われた閣僚レベル会合では、日本、オーストラリア、カナダ、ロシアの提案により、シンクについて国別にキャップを決めることが合意された。また、遵守については、不遵守の場合に法的拘束力を導入するかどうかで合意が得られず、議定書発効後初のCOP会合で討議されることとなった。以上を踏まえて、「ブエノスアイレス行動計画」(1998年COP4会合で採択)実施のための「中核的要素」に関する政治合意(ボン合意)が25日に採択された。
    引き続き、細則について事務レベルで詰めの作業が行われた。途上国支援に関連する項目については、すべて合意が成立した。しかしシンクについては、ロシアが政治合意で定められた自国のキャップに難色を示し、復活交渉を要求した。また京都メカニズム(排出量取引、共同実施、CDM)の詳細ルールについても、詰めの作業が終わらなかった。遵守についても、いまだ基本的考え方に隔たりがあることが判明し、細則についての合意に至らなかった。これらの問題については、10月下旬からモロッコのマラケシュで開催予定のCOP7会合に持ち越されることとなった。

  3. 米国提案に注目
  4. ボン合意により、議定書の2002年発効に向けた動きは大きく前進した。他方、議定書からの離脱を表明した米国は、閣僚レベルで政策レビューを実施しており、今後、どのような提案を行うのかが注目される。いずれにせよ提案のタイミングが重要である。
    9月下旬から10月のいずれかの時点で、日米ハイレベル協議を開催する予定である。両国が協力できる分野として、科学技術、市場メカニズム、途上国およびロシア問題を取り上げることが決まり、現在、それぞれの交渉窓口を決めているところである。

  5. 国内制度整備を精力的に検討
  6. 議定書の発効に向けた国内制度の整備についても、中央環境審議会などで引き続き精力的に検討を進めたい。


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