国土・住宅政策委員会地方振興部会(部会長 阿比留 雄 氏)/9月17日
フィンランドのヘルシンキ市より、エヴァ=リーッタ・シートネン市長をはじめとする対日観光誘致ミッションが来日した。そこで、昨年10月、「21世紀のわが国観光のあり方に関する提言」を公表した地方振興部会において、市長一行との懇談会を開催し、ヘルシンキの都市政策や観光客誘致戦略等について説明をきくとともに意見交換を行った。
ヘルシンキ市は現在、欧州における100以上の都市間協力を推進する組織である「ヨーロッパ文化都市ネットワーク」の議長を務め、EUにおける都市政策に意見を反映させるべく、取り組んでいる。
もとより都市は、市民の福祉や安全、生活の質の向上等に責任を有している。しかし、グローバル化の進展に伴い、投資誘致の都市間競争が激しくなっているばかりか、大都市が国全体の経済の牽引役を担うという要請も顕著になっているのが現状である。
ヘルシンキは産業の活力に満ちている。経済成長率についてみると、今後数年でダブリン、パリに次ぐ成長が期待されている。こうしたヘルシンキの成長に大きな役割を果たしているのが、行政や大学、産業界の間で構築されている連携体制である。
200ヵ国以上を対象に実施した調査によると、ヘルシンキは、生活の質という観点から上位にランクされ、とりわけ、安全、言論の自由、安定した政治状況等が高く評価されている。また、高水準の公的サービス、ヘルスケア、教育等と併せて、公共交通手段、環境、海に面した立地条件等も、高い評価を得ている。
こうしたヘルシンキの強み、魅力によって、近年、ヘルシンキに対する国際的な関心が高まっており、ヘルシンキないしはフィンランドに立地する外国の企業とともに、外国人観光客も増加している。
また、ヘルシンキは交通アクセスにすぐれ、ロシアのサンクトペテルブルク、エストニアのタリン、スウェーデンのストックホルム等、近接する諸都市へのゲートウェイとしての機能も果たしている。
住民にとって快適な都市は訪問客にとっても快適である。風光明媚なヘルシンキは、世界中の観光客をひきつけており、ここ10年の間に、日本からの観光客も倍増した。とりわけ1999年から2000年にかけて、日本人の訪問客は9%以上の伸びを示している。