資源・エネルギー対策委員会(委員長 秋元勇巳氏)/9月18日
資源・エネルギー対策委員会では、自民党石油等資源エネルギー対策調査会事務局長を務める加納時男参議院議員を招き、米国のエネルギー政策転換とわが国の課題について懇談した。また当日は、2001年度経団連規制改革要望案(エネルギー分野)と、資源・エネルギー対策委員会の下に新たに設置する企画部会について審議し、これを了承した。
今年5月、ブッシュ政権は「国家エネルギー政策」を発表した。その骨子は原子力を含む供給力重視への転換である。背景には、エネルギーの中東依存度上昇への危機感や、カリフォルニアの電力危機がある。
カリフォルニア州政府は、発送配電の分断(アンバンドリング)と発電設備の売却強制によって競争環境を整備し、電力価格の低減を図った。しかし、新規設備投資が減少し、供給不足による輪番停電、PG&Eの経営破たん、料金の大幅引き上げという事態を招き、完全自由化は完全に失敗した。この原因は制度設計の誤りにとどまらない。電力は、生活必需、貯蔵・代替困難、長い投資リードタイムという特徴を有する。PG&E、系統運用機構、水資源庁、公益事業委員会を訪問して議論したところ、いずれも電力のこのような特殊性は認めながら、「自分には供給の最終責任はない」と答えた。この無責任体制こそ問題の本質である。
原子力については、ブッシュ政権は規制の合理化や、安全性・コストに優れた新型炉の開発に着手している。IT革命で今後電力需要が増えると予想され、世論も原子力に肯定的である。来年には小型炉の建設計画が発表されると思われる。
わが国では、世論調査によればエネルギー政策への要望の上位は「環境適合性」「供給安定性」であり、「規制緩和・値下げ」は下位であった。一方で大口需要家からは価格引き下げを望む声が多い。自家用発電を使って自己責任で対応できる大口需要家と一般家庭とでは制約条件が異なる。電力部分自由化の成否を検証する際にはカリフォルニアの教訓を参考としたい。自民党は、供給信頼性と環境適合性を基本におき競争政策を推進することを旨とするエネルギー政策基本法案をまとめたところである。