評議員懇談会(座長 伊藤助成 評議員会副議長)/10月18日
評議員約80名の出席を得て、評議員懇談会を開催した。当日は、伊藤評議員会副議長、今井会長から挨拶があった後、第1分科会「構造改革への対応について」(座長:高原評議員会副議長)、第2分科会「ODA改革について」(進行:藤原常務理事)に分かれて懇談した。
「聖域なき構造改革」が進められようとしているが、われわれ経済界としても、企業や個人の潜在能力を最大限に発揮し、自ら経済を活性化していく気構えが必要である。このため、規制改革や税制・法制面での改革、IT化の推進、科学・技術開発の促進等、具体的な課題が着実かつ加速度的に推進されるよう、引き続き、関係方面に働きかけつつ、国際競争に耐えうる産業を構築していくことが求められる。
ODAは、わが国の国際貢献の重要な手段として、大きな役割を果たしてきたが、来年度予算で大幅に削減される方針が早々と出されるなど、抜本的な改革が避けられない状況にある。経団連は、今般、経済界の立場からODAのあり方や改革の方向性を示したところであるが、提言の実現を図るよう取り組んでいきたい。
海外経済の減速が続く中、わが国経済は、4−6月期のGDPが年率3.2%のマイナス成長を記録するなど、大変厳しい状況にある。また米国同時多発テロの結果、世界経済の先行きは一層不透明感を増しており、わが国経済の回復時期はさらに遅れる公算が高くなってきている。このように厳しい状況下ではあるが、わが国は構造改革を進め、生産性の低い分野から高い分野に経済資源を再配分し、経済のグローバル化、少子高齢化等の環境変化に柔軟に適応できるよう経済の体質強化を図る必要がある。
構造改革はまず民間が主体的に進めなくてはならないが、その第1は不良債権の早期処理である。不良債権処理は、銀行の金融仲介機能を回復し、わが国の金融システムに対する内外の信頼を回復する上で不可欠である。
第2に、企業は「選択と集中」の原則のもと、収益性の高い部門に経営資源を集中し、国際競争力を強化していく必要がある。かかる観点から、経団連では企業の組織再編を円滑化する法制・税制の実現に注力してきた。残された課題は連結納税制度の2002年4月からの確実な導入であり、付加税の導入には反対である。また、株主代表訴訟制度の合理化等、コーポレート・ガバナンス法案を今国会で成立させることも重要である。
第3に、企業は新産業や新事業を開拓し、新たな需要を創造していかねばならない。1985年のプラザ合意以降の円高の中で、国内製造業は、アジアを中心に海外への生産拠点の移転を進め、特に近年において中国への移転が進行しており、産業空洞化が大きな問題になっている。そこで、規制改革を進め、雇用創出効果の大きい、新たなサービス産業を創出していく必要がある。
同時に政府部門の改革も不可欠である。まず第1に財政構造改革であるが、わが国は国と地方を合わせて666兆円の債務残高を抱えている。社会保障等の歳出、税制を統合した改革のグランドデザインを政府が示すことで、将来の税や社会保障の負担増に対する国民の不安感を払拭していく必要がある。
第2は、特殊法人改革である。わが国は公的セクター部門が大きすぎ、「民間でできるものは民間に委ねる」との基本的な考え方に立ち、抜本的な特殊法人改革を進め、経済活動における官のウェイトを引き下げていくことが民主導の活力ある経済社会を構築する上で不可欠である。
地球温暖化問題への適切な対応も重要である。地球温暖化問題は世界各国が一致協力して取り組むべき課題であるにもかかわらず、世界のCO2排出量の24%を占める米国を抜きにして京都議定書の発効が議論されている。こうした中、わが国が同議定書を批准するならば、新たな規制の導入が不可避になり、企業の国際競争力を低下させ、経済に深刻な影響を与えかねない。経団連としては、米国抜きの批准に強く反対していくとともに、「環境自主行動計画」を中心とする自主的な取組みを一層強化し、着実にCO2排出量の削減を図ることで政府による規制強化を排除していきたい。
高原副議長説明要旨
構造改革にかかわるテーマの中から、特に、
懇談要旨
規制改革について、
佐藤国際協力委員会政策部会長説明要旨
わが国のODAを理念ある、効率的で透明性の高い、国内外から理解と共感が得られるものにする等の観点から、今般、取りまとめた提言「ODA改革に関する提言」について、その背景ならびに具体的な改革の方向性等についてを説明があった。
懇談要旨
今後のODAをめぐる課題として、