経団連くりっぷ No.158 (2001年11月8日)

人材育成委員会企画部会(部会長 森尾 稔氏)/10月11日

大学改革を中心に文部科学省と懇談


人材育成委員会企画部会では、文部科学省の山中伸一 生涯学習政策局政策課長、板東久美子 高等教育企画課長を招いて、「大学の構造改革」を中心に説明をきくとともに、意見交換した。

  1. 文部科学省説明要旨
    1. 山中課長「教育改革の進捗状況」
    2. 文部科学省では、「教育改革国民会議報告」を基に、具体的なアクションとして「21世紀教育新生プラン」を公表し、7つの重点戦略を示した。来年度の概算要求では、

      1. 児童生徒一人ひとりに応じたきめ細かな指導、
      2. 学校に社会人を大幅に受け入れる「学校いきいきプラン」、
      3. 学力向上フロンティア事業、
      4. 指導力不足教員への厳格な対応と優秀な教員の表彰、
      5. コミュニティスクールなど新しいタイプの学校運営の実践研究、
      等について取り組む。小泉内閣の「改革工程表」には、これらの施策を含む「人材・教育大国の実現」と「科学技術創造立国の実現」を示した。

    3. 板東課長「大学の構造改革」
    4. (1) 大学改革の流れ

      大学改革は、中曽根首相時代に臨時教育審議会が高等教育改革の必要性を強く唱え、昭和62年、大学審議会を設置して、高度化、個性化、活性化、の3つの柱に基づき推進してきた。
      こうした流れを加速・集約したものが、6月の経済財政諮問会議で示した「大学(国立大学)の構造改革の方針」(通称:遠山プラン)および「大学を起点とする日本経済活性化のための構造改革プラン」である。

      (2) 大学(国立大学)の構造改革の方針

      1. 国立大学の再編・統合
        国立大学の再編・統合については、これからの教育研究のあり方を考えて、国立大学の規模・組織のあり方について検討するよう問いかけている。今後、各大学による検討を基に統合・再編計画を作成していく。

      2. 国立大学に民間的発想の経営手法を導入
        新しい「国立大学法人」への早期移行を目指し、9月27日に調査検討会議が「新しい『国立大学法人』像について」(中間報告)を公表した。今年度中に最終報告を取りまとめる予定である。

      3. 第三者評価による競争原理の導入
        大学に第三者評価による競争原理を導入して、国公私を通じて「トップ30」を世界最高水準に育成する。具体的には、大学院博士課程の専攻を対象として、分野ごとにトップ10〜30機関を選定し、1校あたり平均2億円程度を5年間重点投資する。

  2. 意見交換(要旨)
  3. 経団連側からは、

    1. 新しい大学からどのような学生が送り出されるのかが見えてこない、
    2. 教育面の効果をどう評価していくか、
    3. 「グローバル化への対応」と「IT化」の視点を取り入れるべきである、
    4. 産業界のニーズがどうしたら伝わるのかという視点も必要である、
    等が指摘された。


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