セリエールMEDEF会長一行との懇談会/11月1日
経団連では、さる11月1日、セリエール会長を団長とするMEDEF(フランス経団連)代表団一行を迎えて懇談会を開催した。経団連側からは今井会長をはじめとする幹部が出席したほか、来年5月に経団連と統合予定の日経連からも山路副会長ほかの幹部の参加を得た。会合では、日本側から、(1)日本経済の現状、(2)不良債権問題、(3)雇用問題への取組み、(4)対日直接投資の促進などについて説明を行った。これに対し、フランス側からは概要以下の発言があった。
日仏産業界が定期的に意見交換するのは非常に有意義である。世界情勢は厳しく、日本経済は困難な状況にあると理解しているが、日本の産業・技術基盤は依然として堅固であり、直面する諸問題を解決できると信じている。
世界経済の減速に米国同時多発テロの影響が加わり、欧州およびフランス経済は不透明感を増している。欧州経済およびフランス経済は、今後減速していくものと思われるが、個人消費は落ち込んでおらず、来年半ばには景気が回復するとの見通しが大半である。
フランスは人的資源やインフラに恵まれ、生活環境も良好であるが、国民負担率が非常に高い(45.2%)。また、週35時間労働制の導入も失業削減にはつながっていない。雇用の25%を占める公務員の生産性向上や、年金改革、さらには司法制度改革も緊急の課題である。日本の産業界同様、フランス産業界も自己改革に取り組み、関係者に改革の推進を訴えている。
フランスの航空宇宙産業は優れた技術を有し、高い競争力を誇っている。欧州各国とも協力して欧州航空宇宙産業の育成に当たってきた。民間航空機を中心に今後も需要は拡大すると思われる。日本の企業へも民間航空機、ヘリコプターを納入しているが、一層のビジネス拡大を期待する。
現在、2002年1月1日のユーロ貨幣導入に向けて大掛かりな準備が進んでいる。ユーロ貨幣の導入により3億人が実際にユーロを使用するようになるが、これにより人々の欧州への帰属意識や参加意識も強化されよう。パリ市場は世界で最も利用しやすく、効率的な市場であり、資産管理分野では米国に次ぎ世界第二位の規模を誇っている。証券取引でも、パリはアムステルダムとブリュッセルの市場と統合し、ユーロネクストを発足させた。ユーロ貨幣導入はパリ金融市場に新たな発展の機会を提供するものである。
私が経営するエシロール社(メガネレンズ)はニコンと提携関係にあり、大きな成果をあげている。日仏両国産業界が双方の英知を提供し合い、相互補完関係を築くことの意義は大きい。