経団連くりっぷ No.159 (2001年11月22日)

日本ミャンマー経済委員会(委員長 鳥海 巖氏)/10月24日

ミャンマーの経済情勢

−ソー・ター国家計画・経済開発大臣よりきく


外務省の平成13年度高級実務者招聘計画により来日されたミャンマー連邦のソー・ター国家計画・経済開発大臣を招き、ミャンマーにおける最近の経済情勢と今後の見通し等についてお話をきくとともに意見交換を行った。

○ ソー・ター大臣説明要旨

ミャンマーは1948年の独立以降、内乱などにより国内情勢が不安定となり国の発展が阻害された時期があった。しかし、1988年の政権交代以降、経済体制は社会主義から市場重視型へ移行するとともに、135にのぼる少数民族との和平に向けた話し合いも進んだ。政府は1992年から1995年にかけて4ヵ年計画を実施し、年平均7.5%の成長を達成した。その後1996年度に策定した5ヵ年計画も2000年度に成功裏に終了した。

ミャンマーでは、GDPの39%が農業によるものである。ミャンマーは豊富な土地を有しているが、未だその5%しか利用されておらず、今後も農業発展の余地は大きい。農業に不可欠な水資源の開発にも力を入れている。特に、ダム、貯水池、運河の建設が重要である。ミャンマーは海岸線が長く、海産物、海洋生物にも恵まれており、この分野の開発も今後の課題である。

ミャンマーにとっての長期的な目標は、工業部門の開発である。その一環として、政府はインフラ開発を重視している。具体的には、道路、鉄道、橋、港湾、空港、電力、通信設備関連のプロジェクトを優先している。過去10年の間に、多くの橋や道路が建設され、電力についても、発電所の建設や配電の整備が進んだ。しかし、電力は未だ不足している。

人材開発は、国の開発にとって最も重要な分野であると認識しており、ミャンマー社会全体の教育のレベルを向上するために、国家レベルで教育促進プログラムを実施している。教育機関を充実させ、国民の教育へのアクセスを可能にすることを目指している。このプログラムの下、多くの学校が設立されたが、それらには工科大学、コンピューター科学の教育施設も含まれている。また教育のスタッフも増員された。

ミャンマーはあらゆるセクターにおいて外国からの投資を歓迎している。特に、石油、ガス、ホテル、観光、不動産開発、畜産、漁業、輸送、通信、工業団地、農業等への投資を歓迎する。ただ、投資は、投資する企業のみならず、ミャンマー経済にとっても利益をもたらすものでなければならない。例えば、国内で生産した製品を輸出するという前提で認可した企業が、実際は、輸出せず国内で製品を販売していたケースがあった。この場合、原材料の輸入に当てる外貨を国内で調達することになるため、結果としてチャットの下落を招き、国家経済にはマイナスになる。このような投資は歓迎できない。


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