経団連くりっぷ No.159 (2001年11月22日)

人材育成委員会企画部会(部会長 森尾 稔氏)/11月2日

教育の情報化について文部科学省と懇談


人材育成委員会企画部会では、文部科学省生涯学習政策局の尾崎春樹 学習情報政策課長、山中伸一 政策課長を招いて、「教育の情報化」について説明をきくとともに、意見交換した。

  1. 尾崎課長説明要旨
    「教育の情報化について」
    1. 教育の情報化の目的
    2. 教育の情報化の目的は、第1に、情報化社会に主体的に対応できる情報活用能力の育成である。情報活用の実践力(必要な情報を主体的に収集・咀嚼・発信できる能力)、情報の科学的な理解、情報社会に参画する態度、の3つを想定しており、特に情報活用の実践力を重視している。そのために、第1に、中学校の「技術・家庭」の学習内容の35%を情報・コンピュータにするとともに、高校では、必修教科として「情報」を新設する。第2に、ITを子どもの理解増進のための道具として活用して「わかる」授業を実現する。第3に、開かれた学校づくりのためにITを活用して、学校と家庭・地域との連携をはじめ学校運営の改善を図る。

    3. 教育の情報化施策の具体的内容
    4. (1) ハード面:

      1. 平成17年度までに、教育用コンピュータをすべての公立小中高等学校のコンピュータ教室に生徒1人1台、普通教室に各2台整備する(達成率40.5%)。今後、地域格差の縮小(首都圏・近畿圏が低い)や、小人数教育に対応した「次世代型学習空間」の整備,プロジェクタ等の周辺機器の改善等を進めたい。
      2. 平成13年度中にすべての公立学校をインターネットに接続し(達成率81.8%)、平成17年度までにすべての教室にインターネットを接続する。今後、回線の高度化等も促進したい。
      3. 校内LAN整備は、平成12年度補正で2年程度前倒しして進めようとしているが、その達成率は全体で8%と低い。

      (2) ソフト面:

      1. 教員研修を実施して、平成13年度中に、全教員がコンピュータを操作でき(達成率79.7%)、半数はコンピュータを用いて指導できるようにする(達成率40.9%)。平成17年度までにコンピュータで全教員が指導できるようにする。
      2. 学校教育用コンテンツの開発および成果の普及を図る。
      3. 国立教育政策研究所内に教育情報ナショナルセンター機能を整備して、教育情報を検索できるようにする。

  2. 意見交換(要旨)
  3. 山中課長から、「教育の情報化は、地域や企業の人々のサポートが不可欠であり、協力してほしい」との要請があった。
    経団連側からは、

    1. 産業界ニーズ(高度IT人材の育成)と教育界の考えにギャップがある、
    2. 寡黙社会の進展が懸念されるので、「会話力」の育成も重要になる、
    3. 有害情報等に対して、学校も警察など外部との連携を図る必要がある、
    4. 社会の現実と学校教育の乖離が懸念される、
    等が指摘された。


くりっぷ No.159 目次日本語のホームページ