経団連くりっぷ No.161 (2001年12月27日)

なびげーたー

奨学事業にご支援を!

社会本部副本部長 篠原俊光


経団連の日本人・外国人留学生に対する支援は、この30年間で1,045人にのぼる。グローバル化時代の人材育成の柱である奨学事業に会員の皆様の暖かいご支援を賜りたい。

  1. 教育問題について、経団連では、人材育成委員会(委員長:浜田広 リコー会長)が産業界の意見を教育行政や教育現場に反映させるだけでなく、日本人学生の海外派遣事業や外国人留学生への支援事業の事務局も担当している。
    先般、(財)国際文化教育交流財団(理事長:今井敬 経団連会長)と皇太子奨学金日本委員会(代表委員:高木茂 三菱地所社長ほか)が、それぞれ選考試験を実施し、2002年度日本人派遣奨学生を決定した。また、近々、(社)ユナイテッド・ワールド・カレッジ日本協会(会長:野村吉三郎 全日本空輸会長)が海外に派遣する高校生の募集を開始し、3月には東南アジア等から日本の大学に留学している学生を対象にした奨学生(セイホスカラーシップ)の募集を行う予定である。
    これらの奨学金の給付期間はほとんどが2年間で、過去30年間に派遣・支援した奨学生は1,045人に達している。その内訳は、日本の大学院生を28ヵ国の大学に192人派遣、日本の高校生を8ヵ国の高校に376人派遣する一方、35ヵ国から日本の大学に来た留学生477人を支援した。

  2. こうした事業は、その趣旨にご賛同いただいた企業からの拠出金や会費、日本万国博覧会記念協会や東京倶楽部等による資金面での支援と、各団体の役員、選考や問題作成をお願いしている先生方、卒業生の方々の人的協力によって成り立っている。
    奨学金は、基本財産の果実で全額賄うことが理想であるが、異常なほどの低金利と不況が長期化する中で円安も進み、苦戦を強いられている。たとえば、ユナイテッド・ワールド・カレッジ日本協会の高校生派遣事業は、基本財産が少ないうえ補助金もなく、協会会員の会費だけに支えられており状況は厳しい。4年前から授業料・寮費全額給付をやめて半額程度を保護者負担としているが、親の負担を嫌うイタリアやカナダの高校からは日本人の受入れを断わられた(その後、受け入れる学校側が保護者分を負担する形で再開した)。
    経団連の奨学事業をめぐる経済環境はますます厳しくなっているが、グローバル化時代の人材育成の重要な柱として、何とか踏みとどまってこれを維持していきたい。会員の皆様の暖かいご支援をぜひとも賜りたい。

  3. なお、国際文化教育交流財団では、内外の著名な講師を招いて講演会を開催しているが、今回は2月18日に、1998年ノーベル経済学賞受賞者のアマルティア・セン ケンブリッジ大学トリニティー・カレッジ学長を招いて、"Globalization and human security" というテーマで講演していただく予定である。できるだけ多くの方にご参加いただきたい。


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