フリスチェンコ・ロシア連邦副首相との懇談会/11月30日
日本ロシア経済委員会(委員長:安西邦夫氏)では、「貿易経済に関する日露政府間委員会」に出席するため来日したフリスチェンコ副首相を迎え、本年6月の対ロシア政府派遣経済使節団訪ロ後のビジネス環境等につき懇談した。日本側は、安西委員長を座長に、今井会長、高垣ロ東貿会長、安崎副委員長、堀輸送部会長、芦田極東部会長はじめ72名が出席した。
ロシア政府は6月の訪ロミッションを高く評価している。こうした形での対話は今後も続けるべきである。また、日ロ貿易投資促進機構や産業見本市は、ビジネスの拡大に貢献し、長期にわたり両国の関係を促進する上で役立つものと思う。
6月以降のロシアの投資環境をいくつかの側面から説明したい。第1に、政治が安定してきていることについては、疑問の余地はないと思う。なお、9月11日の出来事に際し、ロシアがいち早く米国支持の姿勢を打ち出したことで、ロシアと欧米諸国との関係が緊密化した。このことはWTO加盟交渉にも追い風となっている。
第2に、マクロ経済も安定してきている(GDP成長率は2000年8.3%、2001年5.5〜5.7%の予測、2002年は4.3%を期待)。重要なことは、2年前までは経済成長が主要輸出品の国際市況の好調によるものであったのに対し、2000年後半からは内需が主導している点である。最近では投資の増大も加わっており、経済発展の基盤が形成されつつある。また、原油等の国際市況の変化にもかかわらず、ロシアの国際収支は安定している(今年1〜7月の貿易黒字は300億ドル超)。金・外貨準備も大幅に増えた(年末には約400億ドルとなる見込み)。これらの要因により、外為市場も安定しているほか、対外債務の償還も着実に実行している。インフレも安定の方向に向かっている(1998年84.5%、1999年36%、2000年22%。2001年は18%の予測。2002年は13%の見込み)。
第3に、現在、税制、司法、銀行、軍事、電力、鉄道、年金、行政の改革を同時に推進している。その結果、特に税制については、所得税は一律13%と、ヨーロッパで一番低い税率となった。税法典の生産分与法関連部分の修正案も、来年上半期には可決される。2002年には税制改革を完成させたい。また、先般、土地法が採択され、外国人の土地売買が可能となることから、投資の活性化が期待される。