経団連くりっぷ No.162 (2002年1月10日)

今井会長新年メッセージ/1月1日

活力溢れる経済社会の構築に向け、改革を進める


わが国は、小泉内閣のもとで、「聖域なき構造改革」を進めているが、デフレのなかで失業率が上昇するという、産みの苦しみともいえる状況に直面している。しかし、痛みを恐れ、改革を先送りすれば、真に民主導の活力溢れる経済社会を創る好機を逸し、経済の長期的な低迷を招くことになる。不退転の決意で構造改革を進め、グローバル化や少子高齢化といった内外の大きな環境変化に柔軟に対応できるよう、経済体質を強化していく必要がある。日本経済の再生は、諸外国からも強く期待されており、改革の推進は国際社会におけるわが国の責務でもある。

企業は、自らの責任と努力で、不良債権および過剰債務の処理の迅速化、企業組織の再編を進めるとともに、新産業・新事業の開拓、技術開発の推進に積極果敢に取り組み、国際競争力を強化していかなければならない。

政府は、「官から民へ」という流れに沿って、国、地方を通じた行財政改革を徹底し、経済活動に対する政府の関与を排除していく必要がある。特に、歳出構造、社会保障制度、税制を一体とした財政構造改革、思い切った規制改革や特殊法人改革などを進めると同時に、事後チェック型の市場重視の法制、制度を確立していくことが重要である。

改革を通じ、生産性の低い分野に滞留している経済資源が、生産性の高い分野に再配分されるとともに、国民の将来に対する不安が払拭されていけば、日本経済が持つ高い潜在力に見合った成長を実現していくことが可能になる。

今年は、まさに構造改革の正念場とも言うべき重要な年である。経団連は日経連との統合により、強力な政策提言能力と実現能力を有する総合経済団体を目指していく。改革を支援し、意欲と能力のある全ての個人や企業が、独創性、創造性を大いに発揮し、自らの夢を実現できるような、魅力あるビジネス環境の整備に向け、全力をあげて取り組む決意である。

以  上 


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