経団連くりっぷ No.162 (2002年1月10日)

農政問題委員会企画部会(部会長 松崎昭雄氏)/12月10日

森林・林業基本計画について林野庁よりきく


2001年7月11日に公布・施行された森林・林業基本法に基づき、政府は10月26日、「森林・林業基本計画」(以下、「基本計画」)を策定した。そこで、林野庁企画課の高橋徹課長を招き、同計画について説明をきくとともに意見交換を行った。

  1. 高橋課長説明要旨
    1. 基本計画の目的
    2. 概ね5年ごとに見直すこととされている基本計画の目的は、森林の有する多面的機能の発揮、林業の持続的かつ健全な発展という基本理念の実現に向け、森林および林業に関する施策を総合的かつ計画的に推進することにある。基本計画では、関係者の森林の整備や保全、林業、木材産業等の事業活動や林産物の消費に関する指針とするため、森林の多面的機能の発揮についての目標や木材の供給・利用の目標を設定している。

    3. 主要施策
    4. 基本計画においては、木材生産主体の政策から森林の有する多面にわたる機能の持続的発揮を図るための政策に転換すべく、国民の参加と合意を得て、森林・林業に関する施策を推進し、人と自然が共生する森林の実現に努力することをうたっている。
      例えば、多様な森林の整備を推進する上から、

      1. 水土保全林、
      2. 森林と人の共生林、
      3. 資源の循環利用林、
      という区分ごとに望ましい森林の姿へ誘導するため、育成単層林施業、育成複層林施業、天然生林施業など適切な施業を選択することとしている。なお、各々の整備対象面積は概ね、
      1. 1,300万ha、
      2. 550万ha、
      3. 660万ha、
      に設定し、平成12年から22年、32年にかけて合計2,510万haを維持することを目標に掲げている。
      また、林業経営の育成については、効率的・安定的な林業経営を担える者(森林組合、素材・造林事業体等)を育成するとともに、経営意欲の低下した小規模所有者や都市部に居住する不在村所有者などの森林については、担い手への施業・経営の集約化を促進することとしている。
      さらに、木材の供給および利用を確保するため、望ましい森林の整備が行われた場合の木材の供給量と、今後の木材の需要動向を見通した製材用材等用途別の利用量を設定している。木材供給量に関しては、平成11年の2,000万m3から平成22年には2,500万m3に増加させることを目標としており、林産物の利用を促進する観点から、長期耐用住宅やリフォーム等への対応、学校等の地域のシンボルとなる公共施設の木造化を図りたいと考えている。

  2. 意見交換(要旨)
  3. 経団連側:
    国産木材は高コストで国際競争力に欠ける。基本計画の目標設定がかけ声倒れに終わることはないか。

    高橋課長:
    丸太から製材、流通にいたる過程で機械化等を進め、生産性を向上させることによって、コスト低減は可能である。

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