経団連くりっぷ No.162 (2002年1月10日)

人材育成委員会企画部会(部会長 森尾 稔氏)/12月19日

初等中等教育改革について文部科学省と懇談


人材育成委員会企画部会では、文部科学省の布村幸彦 初等中等教育局教育課程課長、山中伸一 生涯学習政策局政策課長を招いて、初等中等教育改革について説明をきくとともに意見交換した。

  1. 布村教育課程課長説明要旨
    1. 新学習指導要領について
      1. OECD調査などに見られる子どもの状況
        新学習指導要領が来年4月から導入されるが、日本の子どもの学力低下を心配する向きもある。OECDが各国の15歳児を対象に、総合読解力や数学、科学の知識を実生活で活用する力について調査した結果、日本は国際的に見て高い水準にある一方、成績の上位層の割合が低く、学習や読書の時間も国際的に見て最低レベルであった。

      2. 新しい学習指導要領の狙い
        このような結果を踏まえて、新学習指導要領では、国民として求められる基礎・基本の徹底、多様な能力や個性を存分に伸ばす教育システムの整備の観点から、すべての子どもが一律に学ぶ教育内容を厳選するとともに、理解の進んだ子どもには発展的な学習を可能にした。
        「総合的な学習の時間」も活用して、学ぶ意欲を高めていきたいので、経済界にも協力してもらいたい。

      3. 全国的な学力調査の実施
        全国的な学力調査は、これまで10年に1回であったが、本年度から3〜4年毎に継続的に実施していく。

    2. 道徳教育
    3. 確かな学力の定着とともに、心の教育の充実が大きな課題である。幅広い社会体験活動を行うとともに、「心のノート(仮称)」の配布等により学校における道徳教育の改善を図る。

  2. 山中政策課長説明要旨
    1. 教育振興基本計画の策定と教育基本法の在り方について
    2. 11月26日に、文部科学大臣より中央教育審議会に対して、「教育振興基本計画の策定」および「新しい時代にふさわしい教育基本法の在り方」について諮問があった。
      まず、教育振興基本計画で、国民に分かりやすい教育の目標や教育改革の基本的方向を示し、これを実現するために政府が計画的に実施すべき施策や教育投資の在り方等について検討する。これを踏まえ、教育基本法について、教育の基本理念について現行基本法の普遍的な理念は維持しつつ、不足している事項、国や地方公共団体の役割、教育振興基本計画の位置付け等を検討する。

  3. 意見交換(要旨)
  4. 経団連側からは、

    1. 今のんびりしていては国がつぶれる。子どもの意欲と上昇志向をかきたてることが重要である、
    2. メガコンペティションは人の競争であり、伸びる人をどんどん伸ばす、
    3. 教える先生方への対応も必要である、
    4. 学校教育法など関連法の見直しも重要である、
    等が指摘された。


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