経団連くりっぷ No.163 (2002年1月24日)

今井会長の発言から


1月7日(月)
デフレの解消のためには、モノの需給関係を変えるための複合的な施策が必要です
−経済4団体長新年共同記者会見

「現在は、名目成長率がマイナスになるなど、デフレ状態にあります。これは、物価の下落によって、カネの価値がモノの価値より高いという状況です。しかし、スパイラル的に悪化する心配はないと思います。
カネの価値を下げるには、日銀がベースマネーを潤沢に市場に提供する必要がありますが、すでに限界までやっています。また、円安に振れれば、輸入価格が上がり、物価の下落を止める効果があります。そうした意味からは、円安は良い傾向です。
しかし、モノの需給関係が変わらなければ、物価は上がりません。供給面の問題は、不良債権処理が進んでおらず、本来市場から淘汰されているべき企業、商品が留まり、過当競争になっていることです。まず、不良債権処理を進めなくてはいけません。また、規制改革による新事業・新産業の創出、新技術の開発による消費を喚起できる新商品を提供することなどが重要です。
デフレ対策には、こうした複合的な施策の実施が必要です。モノの価値が上がれば、企業収益も好転して設備投資が増えます。それまでには、もう少し時間がかかります。」

1月11日(金)
企業活動のグローバル化が進展する中、自由貿易体制の堅持がますます重要になります
−日本貿易会新春懇親会挨拶

「昨年は、ドーハのWTO閣僚会議において、新ラウンド立ち上げが合意され、中国、台湾のWTO加盟が正式に承認されるなど、多国間の通商体制に大きな動きがみられました。
一方、わが国においては、シンガポールとの間で経済連携協定の締結に合意するなど、二国間での自由貿易協定の動きもでてきました。企業活動のグローバル化が進展する中、自由貿易体制の堅持は、わが国にとって今後さらに重要になります。そのため、今後とも、真に戦略的な通商政策を着実に実行する必要があります。
『貿易立国日本』の一層の発展に向けた取組みが、ますます活発化することを多いに期待しています。」


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