経団連くりっぷ No.163 (2002年1月24日)

経済法規委員会企業会計部会(部会長 八木良樹氏)/12月11日

会計基準の国際的統一化の動向

−国際会計基準審議会(IASB)トウィーディー議長と意見交換


経済法規委員会企業会計部会では、世界中で通用する会計基準の策定を目指す国際会計基準審議会(IASB)の課題や最近の動向について、トウィーディー議長から説明をきくとともに意見交換を行った。

○ トウィーディー議長説明要旨

国際会計基準審議会(IASB)の目的は、世界に認められる質の高い唯一の会計基準を策定することにある。従来から、アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリアの会計基準設定主体と現IASBの前身である国際会計基準委員会(IASC)では、「G4+1」と呼ばれる組織を形成し、国別の基準設定主体が抱える共通の問題に対処すべく検討を行っていた。1996〜97年になると、世界で同じような会計基準を作成すべきとの声が高まり、日本、ドイツ、フランスを加えて7ヵ国が一緒に検討を行えば、よりグローバルな基準設定ができるのではないかと考えた。また、財務諸表上は健全と見えた企業が突然破綻するなど、アジア金融危機を契機として低下した会計基準に対する投資家の信頼を回復させる必要性も生じていた。

そこで、基準設定の機能強化を図るよう、旧IASCの組織再編を行い、IASBとして今年4月に正式に発足したのである。新組織は、組織の運営やメンバーの選任を行う評議員会(19名)と基準策定を担う審議会(14名)、審議会に審議テーマや審議の優先順位等についての助言を与える基準諮問会議(49名)、基準の解釈を行う解釈指針委員会(12名)から構成される。審議会委員のうち7名は主要国の会計基準設定主体との密接な連絡を行い、国際会計基準の各国への反映に努める責務を負う「リエゾンメンバー」であり、上記7ヵ国がリエゾン国となっている。また、基準諮問会議のメンバーはさまざまな立場の意見を反映するよう世界中の財務諸表作成者、利用者、監査人等、幅広い市場関係者から構成されている。

日本で7月に発足をした基準設定主体である「企業会計基準委員会(ASBJ)」は、アメリカに次いで世界2番目の規模であり、パートナーシップを深めていくべきと考えている。IASBでは、業績報告、企業結合会計等の9つの重要項目を検討課題に掲げているが、日本でも同一の課題を取り上げていただきたい。そうすることで、IASBにおける検討に対して日本から適切な意見を出していただけると思う。

2002年は最も大切な年になると思われる。日本からはアメリカに次ぐ多額の資金協力をいただいているが、成果によっては検討は止めてしまえということになりかねない。われわれの国際的な試みが破綻するとは思っていないが、今後とも関係者との話し合いを重視し、経団連、監査法人、学者等の日本の意見を吸い上げていきたいと考えている。


くりっぷ No.163 目次日本語のホームページ