経団連くりっぷ No.164 (2002年2月14日)

経団連第55回評議員会/1月28日
平沼 経済産業大臣

来賓挨拶

今こそ、力をあわせて、
21世紀の日本を切り拓いていくべき

経済産業大臣 平沼赳夫



経団連は、戦後間もない1946年に発足されたと伺っているが、46年といえば、私は、小学校に入った年であった。当時、新宿に住んでいたが、あたり一帯は焼け野原で、通っていた大久保小学校の校庭からは、新宿駅を通る列車を見ることができた。まさに、荒廃の極限にあった。このような戦後の焼け野原から、今日のような世界が瞠目する経済大国になることができたのは、国や経済界が一丸となって努力してきたからである。

しかしながら、現在のわが国経済は、デフレ傾向が続くなど、極めて厳しい状況にある。そのため小泉内閣は、原点に立ち返って、経済を立て直すべく、構造改革という難問に取り組んでいる。既に、昨年9月には「改革工程表」を提示し、構造改革の道筋を示した。改革工程表において13年度末までに措置するとされた450項目のうち、70%は進捗している。残りの30%も緒についている段階で、今後実績があがってくると思われる。また、今般、「構造改革と経済財政の中期展望」をとりまとめ、構造改革後の姿も示した。さらに、私もメンバーとなっている経済財政諮問会議では、今年の夏までに、経済活性化や税制のあり方について議論を行っていくこととしている。

今井会長の言葉通り、日本は潜在成長力をもっており、決して悲観することなく、やるべきことをやれば必ず道は開ける。1973年の第一次オイルショックの際、経済界は率先垂範して、危機を乗り切り、経済を回復させたという実績がある。

そうした潜在力を高めていくためには、人、モノ、金といった経営資源を付加価値の高い分野に投入し、企業が自由闊達に経済活動を行うことができるように、規制改革や税制改革を実施し、魅力的な事業環境を整備していくことが必要であり、政府としても懸命に努力している。今こそ、力をあわせて、21世紀の日本を切り拓いていかなければならない。

経済産業省としても、昨年秋の臨時国会において新事業創出法を一部改正し、新たな事業の創出を促進するため、創業者が行う資金調達の円滑化等の必要な施策を推進するとともに、地域産業クラスター計画を策定し、地域経済の活性化を図っている。

今後とも、わが国経済の閉塞感を払拭し、活力を取り戻すために、政府としても総力をあげて取り組んでいく。経団連においても、民間活力を大いに発揮し、民主導による経済の活性化をリードしていただきたい。最後に、本年5月に経団連と日経連が統合し、新しい総合経済団体が誕生するが、その活動に期待するところは大であり、さらに飛躍されることを祈念する。


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