経団連くりっぷ No.164 (2002年2月14日)

経団連臨時総会/1月28日
今井 会長

臨時総会 経団連会長挨拶

優れた政策提言能力と実行力をあわせ持つ、
真の総合経済団体を目指す

今井 敬



本年5月の定時総会をもって、経団連は日経連と統合し、「日本経済団体連合会」として新たなスタートを切る。本日の臨時総会において諮る議案は、日経連との統合にあたって、事前に会員各位に了承をいただきたいものである。
そこで、これまでの経緯について、この場を借りて報告するとともに、新団体として目指す姿について、一言申しあげたい。

統合の理由と経緯

振り返ると、日経連との統合は、2年前、年頭の経済4団体の共同記者会見において、私から「歴史や文化の違いは統合の妨げにならない」と指摘し、日経連側にボールを投げたことから始まった。
その背景には、戦後50年以上が経過し、労働問題と経済問題とを切り離して取り扱うことは困難になってきたこと、また、社会保障制度改革、雇用・労働問題の解決、教育改革など、両団体の統一した発言、行動が必要とされる重要な政策課題が増えてきた、という強い思いがあった。
日経連側では、この指摘を受けて検討を始め、同年夏に、「何らかの形で合流することが時代の要請である」との結論をまとめた。そこで、経団連では、9月の理事会において、私から「両団体合同の検討組織を設置し、年内を目途に統合の具体的構想をとりまとめたい」と提案し、了承いただいた。
また、日経連側も、同じ時期に同様の機関決定を行った。

新団体設立検討委員会の発足

この双方の決定を受け、日立造船の藤井会長(当時)に座長をお願いして、新団体設立検討委員会を発足させ、統合の具体的構想について検討を開始した。その後、短い期間ではあったが、精力的に検討いただいた結果、一昨年の12月に「21世紀における真の総合経済団体をめざして」という報告書をとりまとめていただいた。
この新団体設立検討委員会の報告書において、民間活力を自由に発揮できる経済社会の実現に向けて、両団体は統合し、優れた政策提言能力と実行力をあわせ持つ、真の総合経済団体を目指す、という方向が示された。
また、統合の時期を2002年5月とするとともに、新団体は社団法人とし、名称は「日本経済団体連合会」とすること、さらに、副会長の定数や、「地方団体長会」を設置することなどをこの時点で決定した。

統合に向けた作業を開始

その後、本報告書に基づき、両団体幹部による「新団体設立準備委員会」を設置し、組織や会員、さらには委員会をどうするかなど、新団体の運営にあたっての基本方針について鋭意検討を進めた。同時に、両団体の会長・副会長レベルでの連携を図るとともに、社会保障などの委員会を合同で開催し、提言を一緒にとりまとめるなど、できるところから一体化を進めてきた。
この新団体の運営にあたっての基本方針は、設立準備委員会において、昨年6月末にとりまとめられ、7月の理事会で報告した。夏以降、基本方針に基づき、定款の見直しのほか、委員会、会員などに関し、統合に向けた具体的作業に取り掛かり、本日に至った次第である。
今後は、5月28日に予定している日本経済団体連合会の第1回総会に向け、事業計画案ならびに予算案などについて両団体が協力して策定の準備を進めていく予定である。

新団体として目指す姿

最後に新団体として目指す姿について申しあげる。
経団連、日経連両団体は設立以来、相互に連携をとりながらそれぞれの役割を果たし、戦後の復興、経済の発展、国民生活の改善に大きな成果をあげてきた。現在、極めて厳しい経済環境にある中、この両団体の統合による強力な新団体の発足に、経済界のみならず、広く国民から大きな期待が寄せられていると言っても過言ではない。
こうした期待に応えるべく、両団体が、これまで過去半世紀にわたって、培ってきた経験とネットワークを共有し、総合的な政策提言能力と実行力を高めることで、世界に例を見ない強力な総合経済団体を目指していく。
新団体の基本的な使命として、活力あふれる経済社会の構築に向け、改革を支援し、個人や企業が充分に活力を発揮できるような環境の整備に全力をあげて取り組んでいく決意である。新団体の会長については、奥田日経連会長(トヨタ自動車会長)にお願いすることにしているが、私も奥田さんと手を携えて、新団体の発足、発展に尽力していく所存である。

新団体の発足にあたっては、経団連が存続団体となるため、会員各位はそのまま新団体の会員として活躍いただくことになる。新団体においても、引き続き、会員各位の協力・支援をお願いしたい。


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