第125回関西会員懇談会/1月31日
「構造改革の断行と活力溢れる経済社会の構築に向けて」をテーマに、標記懇談会が大阪市内で開催された。当日は今井会長、岸・片田・森下・上島の各副会長、秋元資源・エネルギー対策委員長が出席し、関西地区会員約180名の参加の下、意見交換が行われた。
関西経済の現状は、いずれの指標でも全国平均を下回っている。失業率は全国平均より1%高い6.5%、関西上場企業455社の連結経常利益見込みは全国平均36%減に対し、40%減となっている。また、犯罪件数も東京を上回り全国1位となった。一方で、ユニバーサルスタジオジャパン(USJ)が予想を上回る好調ぶりで、百貨店も5年ぶりに売上がプラスに転じている。
関西の企業や住民は、危機感を持って関西再生に向け取り組んでいる。具体的には、
税のあり方は国の行方を左右する重要な問題であり、巨視的な改革の視点が不可欠である。何のための税制改革なのか、問題意識を明確にしなければ、議論が矮小化しかねない。今般、連結納税の導入に向け事態が進展したことは喜ばしいが、わが国産業の活性化という観点からは、その内容は甚だ不十分と言わざるを得ない。この反省から、経済団体の全ての施策は、企業の国際競争力強化に焦点を絞るべきである。
既存の制度においては、企業に対する税負担が大きく、個人が甘やかされている。日本は人件費が高い。税や社会保障などで法人が応分以上の負担をしてきた部分は個人に相応の負担を求めるべきである。
連結納税以外にも、当面の課題として、外形標準課税や環境税が挙げられる。とりわけ外形標準課税の導入は、産業競争力の低下、ひいては雇用不安を招きかねないだけに、経済界として反対の意思を明確に示していくべきである。
わが国の製造業にとって最大の課題は、空洞化という構造変化への対応である。空洞化は換言すれば国際分業化であるが、空洞化した部分をいかに埋めて新しい事業のサイクルを構築するかが問題である。
21世紀の戦略産業として、バイオ、情報通信、環境、ナノテク等が国の支援を受けている。ここで重要なことは、
21世紀はグローバル化の進展のもと、都市間競争の激化が予想される。こうした中、都市再生に向けた政府の取組みは時宜を得ており、関西経済の活性化のチャンスとなる。優れた都市インフラは都市間競争に打ち勝つ要素として不可欠であるが、むしろ重要なのはインフラをどのように活用するかというソフト面である。その際のキーワードとして、
関西国際空港はわが国で唯一の24時間使用可能な国際拠点空港であり、関西のみならず日本の経済社会の持続的発展に必要不可欠な社会資本である。現在、2本目の滑走路の整備工事が進められており、積極的な支援をお願いしたい。
一方、大阪ベイエリアは、大阪湾臨海地域開発整備法(1992年)に基づき開発が進められてきた地域であり、関西経済の活力回復のために大きな意味を有している。しかし、旧態依然とした規制がベイエリア開発推進の足枷となっており、これらを撤廃・緩和すべく、経団連の支援をお願いしたい。
集客・観光産業に目を転じると、昨年3月にオープンしたUSJが国内外で好評を博している。一昨年、観光の提言をとりまとめた経団連には、観光振興に向け一層の取組みをお願いしたい。
秋山喜久氏(関西電力会長/関西経済連合会会長)より「構造改革の断行と活力溢れる経済社会の構築は車の両輪であり、経団連には日本産業のあるべき姿を描いてほしい」との発言があった。
岸副会長よりIT革命推進に向けた取組み、片田副会長より会社法制の整備、また、森下副会長より平成14年度税制改正と今後の課題、秋元資源・エネルギー対策委員長より環境・エネルギー問題、さらに上島副会長より最近の対外経済交流の取組みについて発言があった。
最後に今井会長より、関西におけるさまざまな取組みを踏まえつつ、経団連として構造改革等に積極的に取り組んでいくとの総括があった。