WTOサービス自由化交渉に関する懇談会(司会 貿易投資委員会総合政策部会長 團野廣一氏)/3月1日
WTOサービス貿易自由化交渉において交渉項目の一つとなっている「人の移動」について、外務省経済局の下川真樹太国際機関第一課サービス貿易室長、佐々山拓也開発途上地域課首席、経済産業省商務情報政策局の井上哲郎サービス政策課係長より説明をきくとともに懇談した。
GATS(サービス貿易一般協定)の「人の移動附属書」では、GATSの対象となる措置等について定めている。「自然人の一時的な滞在を規制するための措置」を加盟国が適用することは妨げられない旨規定があるが、経済的理由による規制が認められるか否かは解釈の幅がある。日米欧は、サービス販売のための交渉を目的とした滞在、企業内転勤、自由職業の3つのカテゴリーに分けて約束を行っている。今次交渉では、この3つのカテゴリー以外に「契約に基づくサービス提供者の移動」を含めるかどうかが焦点となる。途上国は、単純労働者の受け入れも求めている。また、上級管理職・高度専門職等の職種に関する共通の分類・定義の作成、需給調整テストの明確化による各分野の市場アクセス改善、入国許可・労働許可の基準明確化、商用目的での短期滞在のためのGATSビザの導入等の提案がある。
APECビジネス・トラベル・カード(以下、ABTC)は、1996年および1997年のABAC提言で提案された、ビジネス関係者の移動促進を目的としたシステムである。ABTC保持者は、ABTC制度を受け入れている国に入国・滞在する際に旅券およびABTCのみで最短で2ヵ月以内、最長3ヵ月以内入国・滞在できる。現在、豪州、フィリピン、韓国、チリ、香港、マレーシア、タイ、ペルー、ブルネイ、中国、台湾が導入済み、もしくは参加表明を行っている。わが国も導入に向けて準備を進めている。
日・星新時代連携協定では、人の移動について