経団連くりっぷ No.167 (2002年3月28日)

防衛生産委員会(司会 永松惠一 常務理事)/3月1日

平成14年度防衛関係予算案について中村防衛参事官よりきく


昨年末、中期防衛力整備計画(平成13〜17年度)の2年度目となる平成14年度防衛関係予算案が決定された。そこで、防衛生産委員会では、防衛庁の中村防衛参事官より、平成14年度防衛関係予算案、および今後の防衛装備行政の課題等について説明をきくとともに懇談した。

○ 中村防衛参事官説明要旨

  1. 平成14年度防衛関係費予算案
  2. 平成14年度防衛関係費政府予算案は、厳しい財政状況の中で、前年比ほぼ横ばいの4兆9,395億円を確保した。
    そのうち、義務的に近い支出である、人件・糧食費や歳出化経費については、前年度並の水準となっている。在日米軍の基地対策経費、研究開発費などの一般物件費については、微減となっている。
    装備品等購入費、修理費等の新規後年度負担額については、減額の傾向にあり、来年度は1兆7,467億円を計上している。

  3. 将来を展望した防衛力整備
  4. 今後の防衛力整備においては、ITを活用した情報通信機能の統合・強化、情報セキュリティの確保等を図り、高度情報通信ネットワークの構築を推進する。
    また、各種災害への対応に向けた態勢の整備、ゲリラ・特殊部隊による攻撃や生物兵器攻撃等への対処能力の強化を図る。
    国際平和への貢献に関しては、国際観艦式の開催、多国間共同訓練などの安全保障対話、防衛交流、国際平和協力業務等を推進する。
    先端科学技術に対応した技術研究開発にも、重点的に取り組む。来年度より新戦車の開発に着手し、IT化への対応、小型・軽量化、コスト低減を図る。また、固定翼哨戒機(P-3C)、輸送機(C-1)の後継機開発については、両機種の機体構造等の一部の共用化により、経費低減を図る。
    弾道ミサイル防衛(BMD)については、日米共同技術研究を引き続き実施する。配備に向けた開発へ移行するかは、経費、技術水準等を勘案し、判断を行う。

  5. 防衛政策を巡る課題
  6. 有事の際、産業界にどの程度の協力を求めるかは、一概には決められない。ただ、有事の際に必要な修理・整備など防衛生産基盤のあり方については議論の必要があろう。
    昨今、財政状況は厳しいが、防衛生産・技術基盤の維持に向け、防衛調達を安定的に確保する必要がある。防衛調達コスト低減の流れの中で、企業側のコスト低減努力を促すよう、来年度より新たなインセンティブ方策を実施したい。


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