経団連くりっぷ No.167 (2002年3月28日)

インターナショナルスクール問題に関するワーキンググループ(主査 中村芳夫 専務理事)/2月27日

インターナショナルスクール問題に関しワーキンググループを新設


人材育成委員会では、グローバル化時代の人材育成の一環として、今般、新たにインターナショナルスクール問題に関するワーキンググループを設け、インターナショナルスクールと教育の多様化促進について検討することとした。第1回会合は、松本三朗 西町インターナショナルスクール名誉校長を招いて、インターナショナルスクールの現状と今後の可能性について説明をきいた。

  1. 松本名誉校長説明要旨
    1. インターナショナルスクールの概略
    2. インターナショナルスクールは、外国語で主に外国人のために普通教育を行う学校で、さらに民族学校、国立学校、インターナショナルスクール(生徒の国籍が一国に偏らない)に分類できる。

    3. 教育理念、存在意義
    4. インターナショナルスクールは、明確な教育理念のもとに、以下の貢献をなし得る。

      (1) 在日外国人
      外国人が生活しやすい環境づくり、対日投資の誘致、国際化の進展、親日家の育成等の観点から、子弟を安心して預けられるインターナショナルスクールの存在は不可欠である。現在は施設が満杯なので、外国人は日本に来にくい。

      (2) 帰国子女
      授業料の引下げと、上級学校への進学が可能になれば、帰国子女にとって、最初の受け入れ先になり得る。

      (3) その他の日本人
      親の国籍や教育理念、職業的理由から、国際的教育、英語教育、2ヵ国語教育等を求める人が急増している。

      (4) 日本の社会
      日本の社会一般、教育界が多文化の世界と触れ合い、理解を拡げる窓口になり得る。逼塞状態の日本の教育を変えるためには「多様性」がポイントになる。インターナショナルスクールが日本の教育界に受け入れられれば、1つの突破口になる。

    5. 法的ステータス
    6. インターナショナルスクールは、学校教育法第1条の正規の学校として認められず、各種学校の中に入れられている。日本国籍を持つ子どもは、原則として正規の学校に通う義務があり、法的に違反行為になる。

      (1) 利点

      1. 制約を受けずに各学校の理念に基づいた特色ある教育を行える。
      2. 教員資格に縛られずに英語のネイティブスピーカーなど必要な教員を採用できる。

      (2) 不利な点

      1. 日本の上級学校への進学資格がないため、有為な人材が海外に流出してしまう。
      2. 助成金や寄付金控除がないので授業料が非常に高い(年間200万円程度)。
      3. 在日外国人は年々増加しているが、借用地での教育は認められていないので都心部での拡張は不可能に近い。

    7. 今後の課題
    8. インターナショナルスクールが日本の社会や教育にさらに貢献するためには、各種学校ではなく、何らかの法的資格を与えて支援することが必要である。

  2. 意見交換(要旨)
  3. 経団連側からは、「インターナショナルスクール発展のために、文部科学省のサポートを受けると制約も受けることになるが、これをどう考えるのか」等が指摘された。


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