経団連くりっぷ No.168 (2002年4月11日)

インターナショナルスクール問題に関するワーキンググループ(主査 中村芳夫専務理事)/3月20日

インターナショナルスクールの抱える問題点


インターナショナルスクール問題に関するワーキンググループでは、白雲龍・セントメリーズインターナショナルスクール・ディベロップメントマネージャーを招いて、インターナショナルスクールの抱える問題点等について説明をきくとともに意見交換した。

  1. 白氏説明要旨
    1. インターナショナルスクールの概要
      1. インターナショナルスクールは、日本人の国際化、世界に通用する国際人の育成、来日外国人が安心できる教育環境の観点から国際的に貢献している。
      2. 一部の学校では、日本人のバイリンガル教育を目的としているが、セントメリーズなど大部分の学校は外国人向けである。
      3. 一般のインターナショナルスクールの法人格は「準学校法人」であるが、セントメリーズのように同法人内に正規の学校(聖光学院中・高校)を持つ学校は「学校法人」となる。このほか、「宗教法人」や「株式会社」もある。
      4. 各学校によって受験資格に対するニーズは異なる。高校まであるセントメリーズでは、生徒の大半が米国の大学に進学するが、IB(国際バカロレア)を取得すれば、大検を受けずに日本の大学を受験できるので、日本の大学の医学部を志望する日本人、韓国人、中国人も多い。

    2. 問題点
      1. インターナショナルスクールは各種学校(管轄は都の私学課)の中に入れられているので、助成金、優遇税制、教育機関用の貸付制度は適応されない。そのため、授業料が高く(年間約200万円)、日本にいる外国人のうち、特に発展途上国の人々等は払えない。
        ただし、地方公共団体によっては、金額は少ないが、外国人にのみ補助金(東京都は一人あたり年間約12,000円)がでるようになった。
        なお、民族学校は、母国の援助(教員の派遣等)を受けられる。
      2. インターナショナルスクールは、日本の上級学校への進学資格がないので、国際的な人材を育成しても海外に出てしまう。特に高校を持たない学校にとっては、受験資格が必要である。
      3. 来日する外国人子弟のための教育施設が不足している。

  2. 意見交換(要旨)
  3. 経団連側からは、

    1. インターナショナルスクールについては、日本人の問題と外国人の受け入れの問題の2つがある、
    2. 日本の選択肢の1つとして、インターナショナルスクールを、正規の学校との接合も含めてきちんと位置付けるべきである、
    3. インターナショナルスクールを各種学校ではなく新たな枠組みにした場合、文部科学省がどの程度の資格を与えて規制を設けるかが問題である、
    4. インターナショナルスクール卒業生の受け入れは学校長の判断の問題でもある、
    等が指摘された。


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