経団連くりっぷ No.169 (2002年4月25日)

今井会長の発言から


4月8日(月)
ASEANの結束強化と中国を含めた東アジア経済圏の確立が必要です
−会長副会長会議後の会見

「タイ、ベトナム、シンガポール、インドネシアを訪問してきました。日本の対ASEAN投資は、単年度でも累積でも対中投資の3倍です。新規投資は中国向けが多いのですが、これまでの産業技術の集積、人材、裾野産業の厚みを活かし、ASEAN は生産拡大のために活用されています。
ASEANは、中国との関係をチャンスとチャレンジとして、捉えていました。チャンスとは中国が巨大な市場であること、チャレンジとは中国の低廉、優秀な労働力に対して、いかに国際競争力を維持するかということです。国際競争力の鍵は、外資を積極的に受け入れることであり、外国投資を歓迎する政策の実施が必要です。
EUや南北アメリカの経済統合の動向を踏まえ、中国を含めたアジア全体の経済的結びつきを強め、東アジア経済圏を確立する必要があります。また、ASEANの連携を強化するためには、メコンデルタ開発の推進、2億人の人口を持つインドネシアの安定が不可欠です。社会全体の安定のため、タイ、ベトナム、インドネシアとも、貧困者対策すなわち農民対策が必要という認識でした。シンガポールでは、構造改革を進めようとしており、起業家精神の発揮、ライフサイエンスなどを中核とした産業構造の転換、企業活性化のための法人税減税などを検討していました。」

4月11日(木)
司法制度改革によって、裁判の迅速化、法曹界の人材の多様化などを実現する必要があります
−本林・日本弁護士連合会会長の挨拶

「今回の司法制度改革は、戦後初めての大改革であり、しっかりやらなければなりません。
これまでの事前規制型社会から事後チェック型社会に変えていくための鍵を、この改革が握っています。改革によって、できるだけ多様な人材を法曹界に取り込んでいく必要があります。
裁判のスピードアップが重要です。小泉総理は、『思い出の事件を裁く最高裁』と言ったそうですが、それでは困ります。また、裁判員制度を導入しても、裁判に大変時間がかかるようでは、裁判員になる人がいなくなってしまいます。
一方、訴訟が増加して米国のようになっては困ります。訴訟社会は、対米投資をする上での大きなリスクにもなっているからです。」


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