経団連くりっぷ No.169 (2002年4月25日)

李鵬 中国全国人民代表大会常務委員会委員長 歓迎昼食会/4月3日

中国経済の発展は日本の脅威ではない


衆参両院議長の招聘で訪日した李鵬 中国全国人民代表大会常務委員会委員長を迎え、経団連、日本商工会議所、日本経営者団体連盟、経済同友会、日本貿易会、日中経済協会の6団体共催で歓迎昼食会を開催した。

○ 李鵬常務委員長挨拶要旨

李鵬委員長

  1. WTO加盟後の中国経済
    1. 今回で5回目の訪日となる。日本と中国の国交正常化、友好協力関係の構築には両国の先人たちの多大な努力があった。特に、日中経済関係の発展には、歴代の経団連会長はじめ日本の経済界の多大な貢献があった。

    2. 中国経済については、引き続き7%前後の成長を見込んでおり、今後10年間も同ペースを維持していきたい。

    3. 中国経済の発展は、日本の脅威ではない。むしろ日本経済がさらに発展するチャンスとなる。中国経済が急成長したといっても、まだ日本経済の5分の1の規模(約1兆ドルのGDP)である。1人あたりGDPの格差はさらに大きい。両国経済は相互補完関係にあり、その関係は今後も続いていくだろう。

    4. 中国のWTO加盟にあたっては、日本の支持を得た。WTO加盟により、中国の改革・開放は一段と進むと期待している。また、中国の世界経済への統合は、さまざまな困難を伴うかもしれないが、中長期的にはメリットが大きい。WTO加盟により、日中の経済関係はより大きな発展を遂げると信じている。

    5. 農業や国有企業の競争力強化、社会的弱者層の保護などの問題については、緩和・解決されると信じている。

  2. 日本への要望
    1. 鶏肉など中国農産品に対して保護主義的傾向が見られるが、こうした対応の見直しを期待している。中国の鶏肉はおいしく、衛生基準も満たしている。

    2. 中国は現在、西部大開発を進めている。日本企業には、インフラ整備にあたり、選択的に投資することを期待している。

    3. 21世紀はハイテクの時代である。中国は現在、情報化を通じて工業化のプロセスを早めようとしている。日本はハイテク分野で中国を大きくリードしており、協力をお願いしたい。

    4. 持続可能な開発、環境問題への関心の高まりもあり、中国の環境保全市場の規模が大きくなっている。日本はこの分野の技術面で中国をリードしており、協力の可能性がある。

    5. 日本は世界第2の経済大国であり、経済構造が調整されれば、経済は回復すると信じている。日本経済の早期回復を望む。


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