経団連くりっぷ No.169 (2002年4月25日)

環境安全委員会(司会 桝本晃章 環境安全委員会地球環境部会長)/4月15日

京都議定書関連法案、審議に時間かかる見通し

−温暖化問題の動きにつき環境省より説明をきく


3月に閣議決定された京都議定書承認案、およびこれに関連する国内対策を定めた地球温暖化対策推進法改正法案、改正地球温暖化対策推進大綱の内容と、温暖化問題をめぐる内外の見通しにつき、環境省の岡澤和好 地球環境局長より説明をきいた。議定書承認案および推進法改正法案については今週から来週にかけて国会審議が開始されるが、与野党各党とも慎重に検討する構えを見せており、審議には時間がかかるとの見通しを岡澤局長は示した。

○ 岡澤環境省地球環境局長説明要旨

  1. 今週国会で趣旨説明
  2. 3月19日に地球温暖化対策推進本部で改正地球温暖化対策推進大綱が決定され、29日に京都議定書承認案と地球温暖化対策推進法改正法案が閣議決定された。推進法改正法案は今週木曜日に衆院本会議で趣旨説明が行われた後、環境委員会に付託される予定である。議定書承認案については、来週以降、同じく趣旨説明の後、外交防衛委員会に付託される。
    ここに至るまで、与党三党はそれぞれ検討の場を設けてこの問題を議論してきた。特に米国抜きで批准することへの懸念が強い。野党も国民生活への影響に関心があり、国会審議には時間がかかる可能性がある。

  3. 当面自主的取組みを尊重
  4. 推進法改正法案では、基本方針として、(1)自主的な取組みを尊重し、当面は法律による措置を取らない、(2)特定分野に負荷をかけるのではなく、関係者が等しく負担を負う、(3)ステップ・バイ・ステップのアプローチをとる、すなわち当面は自発的な取組みを尊重し、数年後に目標の達成度をチェックして施策を見直すことを打ち出している。推進法に基づき、大綱をベースに京都議定書目標達成計画が策定されることになる。
    大綱は、2010年度のCO2排出量を1990年度比±0%以下に抑制するという経団連の自主行動計画をそのまま組み込んでおり、それ以上の削減を求めてはいない。産業部門7%削減という目標は、需要側の対策と供給側の対策を合わせたものであり、試算の目安であって義務付けではない。その他各部門の対策を合わせると4.4%削減となり、残り1.6%は国が責任を持って京都メカニズムで補わねばならない。

  5. 議定書の早期発効は困難か
  6. 国際的に見ても、京都議定書の早期発効は難しい。EUは確実にヨハネスブルク・サミットの90日前までに批准する見通しだが、ロシアは自国経済への影響を評価した上で批准を検討するとしている。オーストラリアは米国にならって不参加の可能性が大きい。カナダは州政府の強い抵抗に遭い、早期批准を諦めた。米国の参加については、日本政府としても外交努力を継続していく。その際、米国が関心を持つ排出量取引のあり方が重要な意味を持つと思われる。


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