経団連くりっぷ No.169 (2002年4月25日)

ISO CR規格の動向に関する会合/3月29日

ISOで企業責任に関する規格を検討


国際標準化機構(ISO)では、現在、消費者政策委員会(COPOLCO)において、企業責任(CR)に関する規格化の是非について検討を進めている。ISOにおいて規格化が決定された場合には、わが国経済界にも多大な影響を及ぼすものと思われることから、経団連および海外事業活動関連協議会(CBCC)では、経済産業省産業技術環境局の辻義信 標準課長を招き、ISOにおけるCRの規格化をめぐる最近の動向について話をきくとともに懇談した。

○ 辻課長説明要旨

  1. 国際規格への関心の高まり
  2. 近年、国際規格に対する関心が高まっている。この理由として、

    1. 1995年に貿易の技術的障害に関する協定(WTO-TBT協定)が発効し、加盟国に対して国家規格を策定する際には国際規格を基礎として用いることを要求していること、
    2. 政府調達への参入基準として、国際規格の遵守が求められるケースがあること、
    などがあげられる。

  3. ISO CR規格の検討経緯
  4. 2001年4月30日〜5月1日のISO理事会において、CRに関するイスラエル規格を考慮しつつ、ISOにおける企業責任の規格化の実現可能性をCOPOLCOで検討し、理事会に勧告を提出すべきことが決議された。これを受けて5月15日〜16日の第23回COPOLCO総会で、CRに関する国際規格策定の実現可能性と必要性の調査をCOPOLCO下のグローバル市場ワーキンググループ(GMWG)に要請すること、およびCOPOLCO メンバーと非メンバーの意見交換を促すため、インターネット上に「CR規格ソリューション・フォーラム」の設置を要請することが決議された。
    10月31日〜11月1日のGMWGには、CRに関する国際規格策定は可能と結論付ける報告書「CR規格の必要性と実行可能性」が提出された。これを受けて、2002年3月7日〜8日のGMWGでは、同報告書について審議が行われた。この会合では、ISO CR規格はマネジメント・システム規格にすべきとのことで各国のコンセンサスを得られた。今後は第三者認証とすべきかが重要な検討課題となるが、わが国は自己確認を基本に第三者認証も否定しないとの立場を主張している一方、わが国以外の参加加盟国には第三者認証とすべきであるとの主張がある。

  5. ISO CR規格の今後の見通し
  6. GMWGの議論を踏まえてさらに修文されるものの、本年6月のCOPOLCO総会には早期規格化を求める報告書が提出され、ISO理事会に勧告が成される見込みである。規格化を求める勧告は秋の理事会で決議される可能性が高く、そうなれば、理事会が技術管理評議会(TMB)に検討を要請することになる。TMBでも規格化が承認されれば、TMBがCRに関する国際規格を審議する担当専門委員会(TC)を決定し、TCでCR規格の具体的な内容の検討が開始される。TCで検討が開始されてから規格化が終了するまでには、2年程度必要となる。


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