ヨーロッパ地域委員会(共同委員長 森川敏雄氏、佐々木 元氏)/4月26日
さる4月26日、ヨーロッパ地域委員会では、折から来日中のロマーノ・プロディ欧州委員会委員長を迎え、懇談会を開催した。
日本とEUは、WTOを始めとする多角的貿易システムの強化や投資促進、構造改革などの課題を共有している。日本が直面する財政再建などの課題も、日本が自信をもって取り組めば解決できると信じている。改革には苦痛が伴うが、継続的な努力が重要である。
欧州は現在、大きな変革の只中にある。ユーロ導入も順調に進み、ユーロはバルカン諸国、ウクライナ、北アフリカ等との取引でも使われ始めている。また、EU拡大交渉も構造調整基金、農業補助金、環境、人の移動などの分野で課題が残されているものの、年内には妥結し、新たに10ヵ国がEUに加盟しよう。所得水準の高い5億人の人口を有する市場は世界にも例が無いが、将来はルーマニア、ブルガリア、バルカン諸国などへ拡大し、新規加盟諸国は高い経済成長を実現することとなろう。
他方、EUの拡大に伴い、6ヵ国で発足した当時のままの意思決定方法の改革が迫られている。EUでは新たなEUのあり方に関する評議会を設置し、1年以内に意見を取りまとめる予定である。EUの主人は各加盟国であり、欧州委員会の機能は欧州としての政策が必要な分野に限定することが重要である。ヨーロッパは国家の連合体として初めて重要な役割を果たすことができる。