民間主導でアジア・太平洋地域の開放的ダイナミズムの維持を

米倉 功 経団連副会長


1993年、シアトルで初めてのAPEC非公式首脳会談が開かれ、アメリカが、APECのビジョンとしてFTA、'Asia-Pacific Community' を提案、NAFTAのみならず東アジア重視に積極的姿勢を見せ、各国首脳も、少なくともこの地域の貿易・投資の自由化を達成することをAPECのゴールとすることに合意したことから、APECは世界中の注目を集めることとなった。特にこの地域の最高首脳が事前調整なしに自然な形で集まれる唯一の機会として、APEC非公式首脳会議は実質的にはG7サミット以上に世界経済にとって重要な意味を持つものとなりつつある。

昨年のジャカルタ会合では、APECの18のメンバーより、各2名の民間代表を選任し(PBF=Pacific Business Forum)、非公式首脳会議に対し数多くの提言を行なった。ボゴール宣言ではこれらの提言を受け、今年も引き続きPBFからの有益な提言を期待する旨が謳われたことから、各国首脳のこの地域における経済開発に果たす民間活動重視の姿勢が強くうかがわれる。

まぎれもなくアジア・太平洋地域の経済成長のdriving forceは、民間セクターの活動にあり、今年のAPEC大阪会合では、ボゴール宣言における貿易・投資の自由化、円滑化、地域の経済協力を促進するために、日本のイニシアチブによって、「行動指針」、具体的アクション・プランが検討されるが、貿易・投資の域内原則、基準・認証、通関手続の改善、規制緩和、競争政策の調和等によって、民間セクターの活動の環境を整備し、人的・技術的交流を促進し、公共事業の民営化を進めることによって、この地域の開放的で、ダイナミックな成長力を維持するものでなければならない。特に今年は、PBFのみならず、経団連主催のBusiness Congress(APB-Net)、PBEC/PECC Joint Meetingなど、民間による国際フォーラム、イベントが数多く開催される予定であり、アジア・太平洋地域の民間交流、ビジネスネットワークが広がることは、この地域の将来にとって、極めて望ましいことであろう。(よねくら いさお)


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