経営タイムス No.2632 (2002年6月6日)

日本経団連集計、14年春季労使交渉妥結結果

賃上げ率、過去最低−193社平均5249円、1.59%


春季労使交渉妥結結果 (大手企業・加重平均)

 日本経団連は5月28日に平成14年の大手企業の春季労使交渉妥結結果(最終集計)をまとめ、発表した。それによると、調査対象(主要23業種、大手307社)のうち平均金額のわかっている193社の妥結額平均(加重平均)は5249円で、アップ率は1.59%となった。この集計結果を昨年の最終妥結実績(209社平均6365円、1.93%)と比べると金額で1116円減少し、率でみると0.34ポイントのマイナスとなった。
 今回の集計結果を製造業・非製造業別にみると、製造業158社の妥結額平均は5570円で、アップ率1.76%。これを昨年実績(161社平均6227円、1.99%)と比べると金額で657円減少し、率では0.23ポイントのマイナスとなった。一方、非製造業は、35社の妥結額平均は4618円、アップ率1.29%となり、金額で昨年実績(36社平均6288円、1.78%)を1670円下回り、率では0.49ポイントのマイナスという結果になった。
 また、妥結額の分布をみると、「4500円以上5000円未満」と「5000円以上5500円未満」で妥結しているところがともに32社(16.6%)と最も多く、以下、「5500円以上6000円未満」(26社、13.5%)が続いている。
 一方、アップ率の分布は、

  1. 1.80%以上1.90%未満(26社、13.5%)
  2. 1.90%以上2.00%未満(25社、13.0%)
  3. 1.60%以上1.70%未満(22社、11.4%)
の順となった。

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

今年の春季労使交渉の特徴点としては、次の7点が指摘できる。

  1. グローバル経済化や規制緩和に伴う競争激化と、長期にわたる景気低迷が続き、産業・企業間での業績格差が顕著となっている中で、労使の真剣な話し合いが行われた結果、各社の人件費支払能力に基づく自己責任型の賃金決定の動きが進み、従来以上に横並びが排されるとともに、全体としては、昨年の妥結実績を下回り、昭和31年のいわゆる「春闘」開始以来、最低の賃上げ率となった
  2. 雇用をはじめ、賃金、賞与・一時金、退職金、福利厚生等を含めた総額人件費管理の観点に立った対応がなされた
  3. 賞与・一時金が従来にも増して各社の業績を反映した形で決まるとともに、一定の算式による業績連動型の賞与制度の導入が鉄鋼などの一部で進んだ
  4. 一部の企業では、定昇の実施時期の繰り延べ、期間を限っての賃金カットや時間外賃金割増率の法定基準への引き下げが行われた
  5. 人事・賃金制度について、年功偏重を改め成果主義化に向けた見直しが進められ、一部の企業では、結果として、平均定昇額が従来に比べて縮小した
  6. 今季交渉において焦点となった「雇用の維持・確保」について、鉄鋼大手では、労使の努力姿勢を示した「雇用の場の維持・確保に関する確認書」が締結され、電機や非鉄大手では、雇用重視の姿勢が、口頭確認あるいは回答書の前書、議事録などに盛り込まれたり、労使の共同宣言が行われた
  7. 一部の企業において、雇用の維持のために、期間を限って、時短とそれに伴う賃金引き下げを行う「緊急対応型ワークシェアリング」の導入が決定された


日本語のトップページ