経営タイムス No.2635 (2002年6月27日)

日本経団連、PFI推進第二次提言を発表

−「官民交流PFIシンポジウム」開く


 日本経団連は17日、「PFIの推進に関する第二次提言」を発表し、あわせて、「官民交流PFIシンポジウム」(地域総合整備財団共催、総務省後援)を経団連会館で開いた。片山虎之助総務大臣をはじめ地方公共団体から約200名、民間企業から約250名が参加し、PFIの推進に向け活発な意見交換を行った。

 さらに場所を経団連ゲストハウス(静岡・御殿場)に移し、「PFI経団連ゲストハウスセミナー」(日本政策投資銀行、日本PFI協会共催)を開催、40名を超える地方公共団体、民間事業者らが、PFI推進のための課題について討議した。

民間の力をさらに活用−「より質の高いPFI事業」実現を

 17日発表した「PFIの推進に関する第二次提言」のとりまとめの経緯と概要は次のとおり。

 PFI(Private Finance Initiative)は、イギリスにおいて、行財政改革の一環として公共事業を効率化するために導入されたもの。公共施設の建設だけでなく、維持管理・運営までも一括して民間に委ね、民間のノウハウや創意工夫等を活用し、効率的に社会資本整備を行う新しい手法である。
 イギリスではすでに、公的資本支出の20%近くがPFIで行われており、「PFI産業」という言葉も生まれている。PFIにより、平均約17%の税金の節約になっているとの試算がある。
 こうした利点があることから日本経団連は、1998年に「PFIの推進に向けて」と題した提言をまとめるなど、わが国においてもPFIを推進すべきと主張。その結果、1999年にPFI法が成立し、現在までに「実施方針」が策定された地方公共団体のPFI事業は約50件にのぼり、今年5月には国のPFI第1号案件が公表された。

 しかし、その具体的な事業内容をみると、民間の能力や創意工夫を生かせる範囲が限定的で、PFI本来の趣旨に沿った事業に必ずしもなっていないものが多い。そこで日本経団連は、その推進にあたっての課題を改めて整理し、今回、第二次提言をまとめた。
 同提言では、今後さらにPFI事業を推進していくにあたって、民間の力を一層活用し、効率的かつ良質な公共サービスが提供できる「より質の高いPFI事業」の実現をめざすことを訴えている。そのために、「行政の意識改革」「法制度や手続き等の面で解決すべき課題」「推進体制の整備」――の3つを要望している。

 第一の「行政の意識改革」では、現在検討・実施されているPFI事業には、いわゆるハコモノ施設の建設費等を単に延べ払いにしたような事業が散見されることから、わが国でも、「財政負担の繰り延べのみを目的としない、建設から運営までのライフサイクルコストの縮減を実現する事業」や「性能発注を基本として、施設の設計・建設・維持管理・運営までを一括して発注する事業」をめざすべきと主張。また、官民の間で適切なリスク分担が行われず、民間に過度のリスクを負わせる契約を民間側が締結せざるを得ない事例もあることから、官民の英知を結集し、最適なリスク分担を実現する事業を推進すべきとしている。
 第二の「手続きや制度面等解決すべき課題」では、多段階選抜や契約交渉・協議の手続きを可能とする事業者選定方法の導入を要望するとともに、税制や補助金制度について、PFI事業の事業方式を選択するにあたって中立的な制度の導入等を求めている。
 第三の「推進体制の整備」では、イギリスで大蔵省がPFIの普及に大きな役割を果たしてきたことから、わが国でも、財政構造改革の一環として財務省のリーダーシップを期待するとともに、「PFI推進委員会」の権限強化や、PFIの推進に必要な法改正を一括的に行うための「PFI推進特別措置法」の制定を要望している。


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