経営タイムス No.2637 (2002年7月11日)

日本経団連常任理事会、川口外相がサミット報告


 日本経団連は3日、東京・大手町の経団連会館で常任理事会を開催した。川口順子外務大臣を講師に迎え、6月のG8カナナスキス・サミットの概要とサミット後の外交課題などについて報告を受けるとともに、柴田昌治・労働問題研究委員長らが、労働・社会動向など最近の日本経団連の取り組みについて説明した。

 会合の冒頭に講演した川口外相は、6月のG8サミットについて、「テロ対策、世界経済、アフリカおよび地域情勢など、首脳間で率直な意見交換ができた」と評価。また、小泉首相の改革路線に基づく日本経済の活性化戦略等に対し、各国首脳から高い評価が示されたことを、「各国の大きな期待のあらわれ」とし、今後一層、構造改革に取り組まなければならないと述べた。

 さらに川口外相は、諸外国との外交は外務省だけでなく、「オールジャパン」で対処しなければならないことを強調、日本の経済界が各国間にもつ人脈やネットワークを「かけがえのない日本の財産」と考え、外交推進に活かしてほしいと協力を要請した。

 講演後の議件ではまず、柴田昌治・労働問題研究委員長が、労働・社会動向などについて報告した。その中で柴田委員長は、新団体の中に奥田会長を議長とする「労働問題研究委員会」を設置することを表明、日経連(当時)が賃金決定の指針として昭和49年から発表してきた『労働問題研究委員会報告』を、新団体においても引き続き発表することを明らかにした。

 続いて安西邦夫・日本ロシア経済委員長が、プーチン大統領はじめ政府首脳に対する投資環境改善の働きかけの成果と、日ロ経済関係の拡大に向けた最近の活動を報告。今年10月の第6回日ロ経済合同会議(東京)に向け、両国間のビジネス促進を目的とした新たな取り組みとして (1)ロシア企業向け日ロビジネス促進セミナー (2)同対日ビジネスに関するアンケート (3)日ロ極東観光協会促進会議 (4)第3回日ロ科学技術フォーラム――の4行事を積極的に展開していくことを示した。

 最後に、わが国の宇宙開発の現状と日本経団連の取り組みについて事務局が報告。2000年6月の「宇宙政策ビジョン」や昨年7月の「宇宙利用フロンティアの拡大に向けたグランド・ストラテジー」を通じた取り組みの結果、昨年11月に総合科学技術会議の中に宇宙開発利用専門調査会が設置され、去る6月19日に取りまとめられた報告書『今後のわが国の宇宙開発に関する取り組みの基本について』に産業界の意見が大きく反映されたことを紹介し、今後、日本経団連としても「準天頂衛星システム」の構築をはじめ同報告書の実現に向け、積極的に支援していく考えであることを明らかにした。


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