経営タイムス No.2639 (2002年7月25日)

産労懇が第227回会合を開催

−ワークシェアリング含む多様な働き方で意見交換


 厚生労働大臣の私的諮問機関である、産業労働懇話会(座長=宮崎勇・大和総研特別顧問)の第227回会合が22日朝、東京・永田町のキャピトル東急で開催され、「ワークシェアリングを含む多様な働き方」について意見を交換した。

 冒頭あいさつで坂口力厚生労働相はまず、雇用情勢にふれ「有効求人倍率は若干、好転しているものの失業率は高い水準で推移しており、依然として厳しい状況にある」と説明。その上で、「政府としては、雇用に関する対策費・3兆8000億円を有効に使い雇用情勢の改善に努めたい」と述べた。
 また、ワークシェアリングについては今後、中長期の観点から「多様な働き方」をどのように推進していくかが重要になるとして、「働き方の選択肢の拡大や社会全体で取り組む課題、その方向性を議論してほしい」と要請した。

 意見交換ではまず、経営側委員から「今年3月のワークシェアリングに関する政労使合意を受け、ワークシェアリング導入の手引きを作成し、その考え方の周知を図っている」と説明。
 さらに、今後の課題は「多様な働き方をどのように推進していくかである」と指摘。そして政労使の論点としては、「多様な働き方が少子・高齢化や労働力人口の減少などにどのような影響を与え、その解決に役立つかを検証し、社会にアピールすること」を挙げた。
 引き続き経営側からは、今後は多様な価値観を生むダイナミズムを創造することが重要であり、「ダイバーシティマネジメントに積極的に取り組んでいる」との説明があった。

 これに対し労働側委員は、緊急対応型ワークシェアリングについては「政府としてもよく対応してくれていると思う」としたものの、「利用実績が期待通りでない。各企業の問題点を見ながら対応する必要がある」と発言。多様就業型のワークシェアリングについては、「今後、十分に論議する必要があるが、均衡公正な処遇実現がポイントである」と求めた。
 また、併せて、多様な働き方に関しては「完全な個人の自己責任に任されるべきでなく、それぞれに新しいワークルールが必要である」との考えが示された。

 これらの意見に対して、公益委員からは、「多様な労働者の違いを認めるようになる中、何もかも正社員と同じ扱いという旧来の発想ではまずいのではないか」「均衡を考えるとき、ただ正社員とパートの均衡を考えるだけでなく、正社員間の均衡も考えるべきではないか」などの意見が出された。


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