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経営タイムス No.2653 (2002年11月14日)

日本経団連、北経連、第29回北陸地方経済懇談会開く

−豊かな日本の創造と北陸地域発展へ/活動報告や自由討議展開


日本経済団体連合会(日本経団連、奥田碩会長)と北陸経済連合会(北経連、山田圭藏会長)共催による、「第29回北陸地方経済懇談会」が7日、石川県金沢市の金沢全日空ホテルで開催された。「豊かな日本の創造と北陸地域の発展に向けて」をテーマとした同懇談会には、日本経団連首脳ならびに北経連の首脳・会員約200名が参加した。会合では、日本経団連・北経連双方から、当面の諸課題に対する活動報告が行われた。また、自由討議では社会資本整備や地方分権問題などで意見が交換された。奥田会長は冒頭あいさつで、わが国の喫緊の課題は「デフレと金融システム不安の悪循環を断ち切ること」と指摘。デフレ対応策の早期実施などを政府に強く求めていることを強調した。

奥田、山田両会長あいさつ

開会あいさつで、山田北経連会長は、北陸地域の経済動向について、「会員を対象としたアンケート結果でも大多数が景気基調を『底ばい』もしくは『下降』と回答している。景気回復の時期も約7割の会員が平成15年以降と回答。先行きに対しても厳しい見方をしている」と報告した。
その上で、「政府には、デフレ対策を強化する2002年度補正予算を早期に成立させるとともに、その編成では、地方の実情を配慮し、追加的財政支出も視野に入れた柔軟かつ大胆な経済運営をお願いしたい」と述べた。
加えて、構造改革特区にふれ、「北陸三県から14の特区を提案している。地方経済活性化の観点から多くの採用をお願いしたい」と求めた。

続いて奥田会長があいさつに立ち、失業率が高止まりしていることなどを挙げ山田会長同様、日本経済が大変厳しい状況にあると指摘。「喫緊の課題は、デフレと金融システム不安の悪循環を断ち切ること」であり、日本経団連としては「金融システム安定化とデフレ対応策の早期実施要望」や「産業再生への提言」をとりまとめ政府・与党にその実現を求めているとした。
併せて、政府には、規制改革・特殊法人改革の進展のため規制改革要望を提出していること、また、規制改革の突破口として注目を集めている構造改革特区についても、「自治体などからの提案が幅広く実現するよう政府に働きかけている」と報告した。

<日本経団連の活動報告>

当面の諸課題に対する日本経団連の活動報告ではまず、片田哲也副会長が「金融システムの安定化に向けて」と題して報告。片田副会長は、政府がこのほど発表した総合デフレ対策のうち「金融再生プログラム」について、「平成16年度までに不良債権問題を終結させる観点から、資産の厳格化、自己資本の充実などの面でかなり詳細に施策が明らかになっている。大筋において評価すべき」との考えを示した。ただ、政府の総合デフレ対策には、(1)需要喚起、デフレ対策の具体策 (2)金融行政の枠組みなど詰めるべき点もあると指摘。今後、日本経団連としては、「金融再生プログラム」の進捗状況を見ながら、関係方面に働きかけていきたいと報告した。
「公的年金制度改革に向けた取り組み」については西室泰三副会長が、日本経団連が先月発表した「公的年金改革に関する基本的考え方」をもとに説明した。西室副会長はまず、提言では、今後とも活力ある経済社会を維持していくため、高い年金給付の確保でなく現役と企業の負担の限界を踏まえた制度に転換すべきと主張していると説明。こうした視点から、基礎年金については「その役割を老後生活のセーフティネットとして位置付け、真の国民皆年金としていくことを求めている」と述べた。
「政治への取り組み」については、前田又兵衞・企業人政治フォーラム会長代行が、同フォーラムの活動内容を紹介するとともに「政治との関係強化のため、より多くの方に参加願いたい」と同フォーラムへの入会を要請した。

<北経連の説明・報告>

北経連からは、「社会基盤の整備促進」について宮太郎副会長が、また、「北陸地方の活性化と広域連携の推進」について江守幹男副会長が、「環日本海経済交流の推進に向けた取り組み」について南義弘常任理事がそれぞれ説明・報告を行った。
このうち、江守副会長は、新技術・新産業の創出を目指し展開されている「北陸スーパー・テクノ・コンソーシアム(STC)事業」や広域連携推進の一環としての広域観光事業について説明。「STC事業については現在、地元でも認知され企業はもとより研究者、一般会員も含め約350名が参加し、発表案件も60件を超えた。今後は、北陸三県の公設研究機関、各大学、商工団体と一体となり強力なネットワークを構築していく」と強調した。
南常任理事は、環日本海経済交流の現状説明のなかで、今年3月に「第3回北陸・韓国経済交流会議」を開催し、約30件に及ぶ商談が繰り広げられ、着々と成果を上げていると発言。さらに、北経連として中国市場における「事業展開のあり方」の検討に着手する考えを明らかにした。

日本経団連・北経連双方の活動報告ののち自由討議(別掲)が行われ、社会資本整備や地方分権問題などで意見を交換した。
自由討議ののち意見を集約し奥田会長が総括した。この中で、奥田会長は、「日本が今考えるべきことは総合デフレ対策である。これまでの手法で単に財政出動を繰り返しても経済情勢は変わらなかった。日本の道筋を変えていくべき時である」と強調。具体的には、今後は科学技術創造立国をめざし「他の国に差をつけるべきである。国内では、都市再生、住宅投資が大事である。これが景気回復の要因となる」との考えを示した。
補正予算問題については「今年度の税収が決まらないことには、編成すべきかどうか言えない」と述べた。
社会資本整備の問題については「各地域の道路などの社会資本について、その利用価値や効果について所管官庁や地元選出の代議士に熱意をもって訴え、納得させることが必要と思う」と語った。


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