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経営タイムス No.2655 (2002年11月28日)

第10回政労使雇用対策会議

−深刻化を懸念、対応策検討


政労使のトップで構成する第10回政労使雇用対策会議が26日、総理官邸で開催された。政府側からは、福田康夫内閣官房長官、平沼赳夫経済産業大臣、坂口力厚生労働大臣らが、経営側からは奥田碩日本経団連会長と矢野弘典同専務理事、労働側からは、笹森清連合会長と草野忠義同事務局長が出席した。

席上、福田官房長官から、(1)不良債権処理を加速するなど構造改革を加速し、日本経済を再生するための政策強化を行い、民需主導の自律的な経済成長の実現をめざすため「改革加速のための総合対策」を取りまとめたこと (2)「産業再生・雇用対策戦略本部」を設置し、産業の再生と雇用対策を一体的に推進するための体制を整備したこと (3)政府としてはこれらの施策を着実に実施することにより、企業・産業の再生と雇用対策を強力に推進していくとともに、引き続き必要なセーフティネットについて検討していきたい、とのあいさつがあった。

平沼経済産業大臣は、(1)経産省としては、デフレの克服と経済再生に向けて政府が万全の対策を取るとの視点に立ち、必要な対策を速やかに実施すること (2)民間を活用した再就職支援や能力開発等を充実強化することが重要であり、職業紹介や労働者派遣、有期雇用契約の思い切った規制緩和等により労働市場の構造改革を加速することが必要である、との考えを示した。

坂口厚生労働大臣は、構造改革を進めていく中で、適切な雇用対策を講じながら、雇用不安を払拭していくことが重要とし、そのために、厚労省として離職を余儀なくされた労働者に対しトライアル雇用を通じた就職・起業に対する助成金の創設等の準備をしていると紹介。雇用問題に的確に対応するには、労使の理解と協力が不可欠で、政労使間で一致点が見いだせるものについて取り組んでいきたいと説明した。

奥田会長は、完全失業率、失業者とも高止まりしている中、今後不良債権処理が加速すれば、失業情勢は一層深刻化すると懸念。わが国がとるべき道は、雇用の維持・創出から、景気回復につなげることにあると指摘し、加えて10月23日に発表した「緊急雇用対策プログラム」について詳細に説明した。

笹森会長は、地方の状況を仔細に見ると、まさに悲鳴が上がっている、補正予算と来年度予算によって危機的な状況を何としても回避する必要があると主張。

最後に坂口厚生労働大臣は、「今後の雇用対策を推進して行くために大変重要な指摘があった。一致点を見いだせるものは、政労使が一致協力して実行していくことを確認したい」と結び、次回は12月4日に開催することとなった。


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