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経営タイムス No.2656 (2002年12月5日)

日本経団連、全経連首脳が懇談

−日韓FTAの早期締結へ「協力して推進」確認


日本経団連と韓国の経済団体、全国経済人連合会(全経連)は11月26日、東京・大手町の経団連会館で19回目となる首脳懇談会を開催した。日本経団連からは奥田碩会長はじめ副会長、委員長ら17名、全経連側からは趙錫來副会長ら21名が参加。まず、奥田会長と趙副会長がそれぞれあいさつ。その後、日韓両国の経済改革の現状と展望、日韓自由貿易協定(FTA)と東アジアの連携、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の情勢と南北経済協力の現状――などについて自由懇談を行った。懇談では、日韓FTA早期締結に向けた協力や対中国事業での協力関係の確立などを確認し合った。

冒頭のあいさつで奥田会長は、今年5月に経団連と日経連が統合して日本経団連が発足したことを説明。また、今年はワールドカップの共催を通じて日韓両国の協力関係が確固たる基盤を築くことができた画期的な年であると語った。

これを受けて趙副会長は、統合した日本経団連と今後の日韓経済交流の活性化への期待を述べた上で、アジア地域の経済統合の重要性や中国経済に対する日韓協力のあり方、FTAへの取り組みなどにも言及。ワールドカップの協力精神をもとにした新しい日韓関係構築の重要性を訴えた。

自由懇談ではまず、日韓両国の経済について、来年の実質GDPは日本が0―1%、韓国が5%前後になるのではないかとの見通しが双方から示された。さらに、日本と韓国は産業構造が似ているとした上で、韓国はIMF支援直後から金融・企業・労働・公共の4大改革などによって経済回復に成功した点など日本も学ぶべきことが多いとの議論があった。

日韓FTAと東アジアの連携については、包括的な日韓FTAの早期締結に向け、日韓の経済界が協力して推進していくことを改めて確認。FTAが日韓両国の構造改革に役立つと指摘しFTAの議論の活発化を促すとともに、アジアで日韓が先駆けてFTAを結びひとつのモデルを示す必要があるとの意見があった。

また、日韓交流促進のために、ノービザ協定など入国審査制度の簡素化、日韓のシャトル便の開設、さらに、日韓プロサッカーの統合リーグの実現といった提案が全経連側からあった。

発展目覚ましい中国との関係では、「日韓が有している技術力を活かしてインフラ整備の分野などを中心に中国市場に進出すべき」「中国をパートナーとして考えれば日中韓三国ともに成長できる」「日本と韓国、さらに中国を1つの市場としてアプローチすべき」――など、中国の台頭を脅威ではなくチャンスとしてとらえる意見が相次いだ。

北朝鮮との関係については、北朝鮮の現状を全経連側が説明。北朝鮮は道路や港湾などのハード面と制度などのソフト面が不足しており、投資保障協定や二重課税防止協定、紛争処理などの整備の必要性を指摘。その上で、「インフラ整備は国際支援なしでは無理。日朝間、米朝間の関係改善が必要であり、日本の役割は極めて重要である」と語った。

閉会のあいさつに立った奥田会長は、日韓FTA締結の今後の進め方やアジアにおける日韓両国の果たすべき役割などについて率直な意見交換ができたと総括。特に、FTAについては、「締結に向けた動きを確かなものとするためにも、この懇談会で提起された問題を検討し、両国企業が努力していく必要がある」と述べ、日本経団連と全経連両団体間のさらなる連携を呼びかけた。

同懇談会は、日韓両国の経済人が率直な意見交換により相互理解を図り、日韓の経済関係の緊密化に資することを目的に、1983年から開催している。


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