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経営タイムス No.2657 (2002年12月16日)

企業・産業再生に関する「基本指針」策定について

−企業主導の産業再編など日本経団連が意見書発表


日本経団連は9日、政府が進めている企業・産業再生に関する「基本指針」策定について、次の意見書を発表した。

政府の企業選別にも言及

  1. わが国経済の再生を果たすためには、金融機関の不良債権処理の加速化とともに、金融機関による債権区分の見直しの有無にかかわらず、企業が自らのイニシァティブにより事業の早期再生、産業の再編を果たすことが不可欠である。

  2. 政府の役割は、あくまでも、企業の自助努力を支援するために、産業活力再生特別措置法をはじめとする関連法制、税制等の環境を整備することであり、政府がことさらに企業を選別したり、特定の産業について再編を主導することとなってはならない。

  3. 産業再生・雇用対策戦略本部が年内に策定する「基本指針」は、上記の趣旨に則り、過剰債務問題、過剰供給問題を企業自らのイニシァティブで進めるための環境整備、ならびに、金融機関の不良債権処理、企業の事業再構築あるいは産業再編による雇用、中小企業、地域経済への影響を最小限に緩和するためのセーフティ・ネットの構築に関する政府の包括的な取組みを示す内容とすべきである。

  4. 「早期事業再生ガイドライン」は、企業が自ら事業再生に着手するための指針であり、特定の企業、産業について選別の基準を示すものとなってはならない。その意味で、事業再生に着手することを促すための「指標」を具体的に設定することには慎重でなければならない。
    また、早期事業再生を果たすための支援措置として、会社法制、税制の整備等について具体的な方策を示すべきではあるが、事業再生は第一に企業と債権者、株主等の関係者との合意によるべきものであって、安易に倒産手続とリンクさせることは、却って、企業自体の存続を危うくするものである。

  5. 一方、産業再生機構による債権の買取りは、債務者企業自らが早期再生を果たすに至らなかった際の措置であり、「早期事業再生ガイドライン」と機構の債権買取に関わる基準とは峻別されるべきものである。


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