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経営タイムス No.2670 (2003年4月3日)

ゴー・シンガポール首相、日本経団連を訪れ奥田会長らと懇談

−経済連携の重要性確認/アセアン関係でも意見交換


日本経団連は3月27日、東京・大手町の経団連会館でゴー・チョクトン・シンガポール共和国首相一行との懇談会を開いた。日本経団連側からは奥田碩会長、森下洋一副会長、香西昭夫副会長らが参加した。昨年11月末に発効した「日本シンガポール新時代経済連携協定(JSEPA)や東アジア自由経済圏構想、日本とアセアン、中国との経済関係、アセアンにおける日本とシンガポールの協力方策――などについて意見を交換。日本とシンガポール、さらにアセアンとの経済連携の重要性を確認し合った。

奥田会長、JSEPA発効を評価

懇談の冒頭、奥田会長は、JSEPA発効を評価したうえで、「こうした機会を活用して、両国を取り巻く経済状況など幅広い問題について、意見交換をしていきたい」とあいさつした。

それを受けてゴー首相は、(1)イラクや北朝鮮をめぐる情勢などの国際的課題への日本の取り組み (2)中国の台頭を念頭に置いた日本の構造改革の進捗状況と現在の課題――について意見交換をすることが今回の来日の目的であるとしたうえで、日本とアセアン、中国との経済関係について、問題提起を行った。
まず、JSEPAの締結については、単に日本とシンガポールの2カ国間だけでなく、アセアン全体の中で捉える必要があると述べ、シンガポールにとってアセアンは重要であるとの認識を示した。
発展著しい中国については、「中国と日本という2つのエンジンの力を活用することにより、アジア経済を発展させたい」として、日中両国のバランスある発展が重要であるとの見解を示した。そのうえで、中国とは自由貿易協定(FTA)によって、日本とは包括的経済連携によって、アセアンとの関係が深くなるとの考えを明らかにした。
さらに、ゴー首相は、「アセアンは日本と中国の両国と個別に連携するだけではなく、東アジア諸国が相互に依存し合って、東アジア自由経済圏、さらには共同体へとつなげたい」と語った。そして、この構想の実現には日本の経済界の協力が欠かせないとして、日本経団連に理解と協力を求めた。

それを受けて奥田会長は、「東アジア自由経済圏構想は、日本経団連が日ごろから主張してきたことだ」と、ゴー首相の意見に同意を示すとともに、「東アジアの発展なくして日本の発展もありえない」と述べ、東アジアとの経済連携の重要性を強調した。
さらに、「中国は大きな存在。韓国も力をつけてきた。その2国と友好関係をつくっていかなければならない」と述べ、その際には「シンガポールに政治的にも経済的にも重要な役割を果たしてもらわなければならない」と要望した。
また、日本の将来について奥田会長は、「ここ数年のうちに不況を克服してグランドデザインを描きたい」との決意を表明した。

それに関連してゴー首相は、「先端技術だけではなく、先端技術を生み出す人材をどれだけ国内に留められるかが、国の趨勢に大きく関係する」と述べ、魅力ある国づくりの重要性を指摘し、奥田会長も同意した。

参加した日本経団連のメンバーからは、「アジアのシンガポール、世界のシンガポールになってほしい」とのエールや、「東南アジア諸国の投資環境の整備が、中国に比べて遅れている。シンガポールがリーダーシップをとって進めてほしい」との要望などが出された。

懇談の最後にゴー首相は、「ベトナムにおける日本とシンガポールの協力の具体化策を詰めてプラン化していきたい」と述べ、日本経団連とシンガポールの関係省庁との協議を提案。今後検討を進めることで合意し、懇談を終了した。


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