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経営タイムス No.2672 (2003年4月17日)

ライトゥル総裁ら招き昼食懇談会

−日本とオーストリアの関係、EU拡大などで意見を交換


日本経団連ヨーロッパ地域委員会の佐々木元・共同委員長らは11日、東京・大手町の経団連会館でオーストリア連邦産業院のクリストフ・ライトゥル総裁らと昼食懇談会を行った。オーストリア側は、エルンスト・フーバー総裁補佐などのほか、オーストリア企業の代表者らが参加。EUの拡大や、日本とオーストリア、さらにはヨーロッパとの関係、愛知万博、環境・エネルギーの新技術などについて意見を交換。日本とオーストリアの経済関係を一層深め、協力していくことで認識が一致した。

冒頭あいさつした佐々木共同委員長はまず、2001年9月の日本経団連訪欧ミッションの際にライトゥル総裁と懇談したことに触れ、「オーストリアは、2004年に予定されているEU拡大に合わせ、中東欧諸国との政治経済関係を一層強化したいとの意欲を強く感じた」と印象を語った。
また、日本の経済界もEU拡大を一つの契機と考えているとしたうえで、「オーストリアをはじめEU諸国との経済関係のさらなる強化を図りたい」との考えを示した。

ライトゥル総裁からは、日本経団連とオーストリア連邦産業院の関係について、「これまでよい協力関係を築いており、すばらしいことだ」と語った。
また、EUについては、チェコやハンガリーなど10カ国が今月16日に調印し、2004年から加盟国が拡大することを「EUの歴史上の第一歩」と評したうえで、「これによりヨーロッパの再編成が行われ、大きな力が加わることになる」との見解を述べた。
日本との関係では、一層の関係進展を図るために、ヨーロッパ企業の日本への誘致を進めるとともに、日本企業をヨーロッパに紹介したいと述べ、日本企業のヨーロッパへの進出と投資の拡大への期待感を表した。また、前日の奥田会長との懇談(別掲)で中心的な話題であった愛知万博については、「愛知万博のテーマである“自然の叡智”というコンセプトを、財政的にも支持する」との協力姿勢をあらためて表明した。

さらに、環境における新テクノロジーについて、オーストリア企業がこの分野で革新的な技術をもっていると述べたうえで、日本とオーストリア共同で今後の戦略を構築し、環境やエネルギー分野で協力関係をつくりたいとの意向を明らかにした。
特にエネルギーについては、オーストリアの先進的な企業を紹介し、話し合うための新たな場を設定したいと述べ、「意見交換を通じて、新しい産業を創り出すことができるのではないか」との見方を示した。
懇談会ではそのほか、廃材や農業廃棄物などのバイオマス(生物資源)エネルギーの活用や観光問題、森林問題などについて話し合った。

最後にライトゥル総裁は、今回の懇談会で具体的な案が出たことを高く評価し、「今後、プロジェクトとして実行に移し、成功に結び付けたい」と述べ、終了した。


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