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経営タイムス No.2676 (2003年5月22日)

若年者の雇用促進・人材育成へ

−日本経団連、日本商工会議所が共同提言


日本経団連(奥田碩会長)と日本商工会議所(山口信夫会頭)は13日、定職に就いた経験のない若年者を中心とする雇用促進・人材育成に関する共同提言を、平沼赳夫・経済産業大臣に提出した。4月の政府主催諸会合の席で平沼大臣が、「若年者の能力向上、人材育成強化が重要」と発言、産業界にも対策と協力を求めたことを受けたもので、提言では、教育機関・企業・行政が一体となった地域主体の新たな枠組みの必要性を強調。また、労働需要の改善には景況の改善が何よりも重要であることから、政府に対しては景気回復に万全の対策を求めた。提言を受け平沼大臣は、「地域への押し付けにならない形で、省益を超え国益の観点から全力を尽くしたい」と述べた。提言内容は今後、経済産業、厚生労働ら関係閣僚の協議を経て、経済財政諮問会議が6月にまとめる骨太方針(第3弾)に盛り込まれる予定。提言の概要は次の通り。

【官民協力して取り組むべき具体的施策】

I.地域における新たなパートナーシップ形成

地域特性に応じたきめ細かい職業紹介、カウンセリング、職業訓練等の雇用関連事業を一体的かつ効率的に推進するための新たな枠組み(キャリアセンター)を地域主体で設立・運営することが望まれる。キャリアセンターでは、(1)情報提供(2)就職先の斡旋(3)カウンセリング(4)訓練プログラムの紹介等のサービスをワンストップで実施。これらのサービスは、民間事業者に委託し、委託する業務の一部は成功報酬制とし、事業者間の健全な競争を促進する。

II.充実すべき施策

  1. インターンシップ、トライアル雇用等の推進
  2. 官民の協力による雇用情報提供
  3. 企業のニーズに応じた効果的な職業訓練の実施
  4. 学校でのキャリア教育の充実
  5. 創業・起業の活性化のための高度職業教育の充実

III.既存の助成金・予算、規制の見直し

これまでの政策の事前事後両面で政策評価を行い、施策の効果を高める必要がある。政策効果の乏しいものは廃止すべき。一般会計による雇用対策関係予算・教育関係予算についても、人材育成の観点から総合的に見直しを行い新たな枠組みの財源とする。

【産業界の取り組み】

  1. 地域におけるキャリアセンターへの協力=地域におけるキャリアセンターの設立に積極的に協力するとともに同センターの事業の運営に積極的に参画する。
  2. インターンシップ、トライアル雇用等の積極的受け入れ=受け入れ企業の拡大や制度の周知等、制度の活用促進に取り組む。また、公的職業訓練機関からの委託訓練の受け入れを促進する。
  3. 求人情報をはじめとする情報提供の強化=ミスマッチを防ぎ定着率の向上を図る観点から、求人の人材要件を明確化する。また、企業の潜在的な求人ニーズの掘り起こし等を行うとともに、合同説明会・就職ガイダンスの開催等の就職情報提供事業を強化する。
  4. 産業界による人材育成・職業訓練の実施・協力=企業の人材投資の積極化に向けた取り組みを促進するとともに、各地経済団体における人材育成事業を一層推進する。
    職業訓練機関へ積極的に企業人を講師として派遣し、より実践的な職業訓練が提供されるよう協力する。
  5. 学校でのキャリア教育への協力=小学校段階からキャリア教育を充実させ、健全な職業観の醸成や職業意識の向上に資するため、企業における生徒・教師の社会体験の受け入れ、学校への社会人講師やボランティアの登録ならびに派遣の斡旋機能の強化、民間人校長の推薦など人材面での学校活性化を支援する。
  6. 創業・起業の活性化支援=起業家精神の涵養と企業間連携の推進を図り、新産業・新事業の創出を促進する。また、各地経済団体による創業・起業についての講習会、相談対応、事例紹介、資金・人材マッチング等の支援事業を強化する。

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