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経営タイムス No.2679 (2003年6月12日)

参議院本会議、労基法改正法案を審議

−衆議院で修正の解雇規定など


参議院本会議が9日に開催され、労働基準法の一部を改正する法律案について審議した。審議では、衆議院で修正が施された解雇規定についても質問が出された。野党議員の質問に対して小泉純一郎・総理大臣が答弁した。

解雇規定についての政府原案が衆議院で修正された今回の法案の評価を問われた小泉総理は、「最高裁の判例で確立しているものの、これまで労使当事者間で十分に周知されていなかった解雇権濫用法理を法律上明確にすることで、解雇をめぐるトラブルの防止・解決につなげることを意図している」と説明。その上で、政府原案は使用者が自由に解雇できるとの誤解を与えるのではないかとの強い意見があったことを踏まえ、与野党で修正に合意したと経緯を述べるとともに、この修正によって、当初の目的が一層効果的に果たされるとの考えを表明した。
また、衆議院で修正が入ったことから、「解雇しやすいルールという考え方が国会で否定されたことをどう受け止めているのか」との質問が出された。これに対して小泉総理は、解雇規定の新設は解雇をめぐるトラブルの防止・解決を意図したものであることを繰り返し強調した上で、政府原案においても「解雇を促進する意図はまったくなかった」と語った。

今回の労働基準法の一部を改正する法律案は、(1)労働契約期間の上限の延長 (2)解雇に係わる規定の整備 (3)裁量労働制に係わる手続きの簡素化――などの措置を講ずるもの。先月6日に衆議院本会議に上程され、その後衆議院厚生労働委員会で審議していたが、解雇規定の政府原案にある「使用者は労働者を解雇できる」との表現が、経営者が自由に解雇できるとの誤解を招くと野党側が主張、与党側が修正に応じた。修正法案は「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」となっている。修正法案は5日に衆議院本会議で採決され、現在、参議院厚生労働委員会で審議している。早ければ来週にも成立する見込み。


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