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経営タイムス No.2685 (2003年7月24日)

日本経団連、子育て環境整備へ具体的施策を提言

−企業、「仕事と家庭の両立」を支援

−社会全体、保育サービスの充実を促進


日本経団連(奥田碩会長)は22日、「子育て環境整備に向けて」と題する提言を発表した。同提言は、わが国における重要な課題のひとつである少子化問題について、国民生活委員会(大塚陸毅委員長)で昨年10月から検討してとりまとめたもの。少子化問題については、その原因や少子化がもたらす影響、国・地方公共団体・企業等が取り組むべき対応策について、すでに多くの報告書などが出ていることから、同委員会では、就労者が子育てをしながら働き続けることができる環境をどのように整備するか(子育て環境整備)に焦点を絞り、実現可能性のある具体的施策について提言している。

○子育て環境整備の必要性

社会全体としては、(1)少子化による労働力人口の減少、経済成長率の低下、国民負担率の上昇などへの対応として多様な労働力の活用 (2)「男女共同参画」の推進 (3)子育てに関する負担の軽減による少子化進行の歯止め――を指摘。また、企業としては、新たな価値の創造、企業競争力の向上を支える人材を確保する観点から、「子育て環境整備」の必要性があると分析している。
これらを踏まえ、子育て環境整備は社会全体にとっても企業にとっても必要との考えから、子育て環境整備のために取り組むべきこととして、企業には「仕事と家庭の両立支援」を、社会全体には「保育サービスの充実」のために求められる具体的な施策を提言している。

○企業が取り組むべきこと

まず、企業における意識改革の徹底を説き、職場内の固定的な性別役割分担意識を払拭するべく、経営トップがリーダーシップを発揮して意識改革を行うべきとしている。
さらに、各企業の実情に応じた働き方の多様な選択肢を用意するために、短時間勤務や在宅勤務など、企業内の諸制度の整備を自主的・主体的に推進することを求めている。

○社会全体が取り組むべきこと

社会的なインフラとして必要不可欠な保育サービスの充実のためにまず、保育所の役割を「保育に欠ける児童のための保育」という施設の位置づけに加え、「保育を希望するすべての人の多様なニーズに応える」ための施設へと、保育に関する考え方の転換を訴えている。その上で、安全性等のレベルを向上させつつ、保育サービスの量的な拡大や利用者の多様なニーズへの対応が可能となるよう、保育サービスの提供者間で競争メカニズムを機能させることが不可欠であるとし、(1)認可保育所制度の規制改革 (2)地方公共団体独自の認定制度の拡大 (3)利用者ニーズから発想した新たな仕組みの導入 (4)事業所内託児施設への支援――を提言。
さらに、認可保育所制度の抜本的見直しのために、認可制度による事前規制を改め、利用者への情報公開と新たな基準のもとでの第三者評価を前提とした事後規制へ転換するとともに、保育所の直接契約方式を前提とした利用者への直接補助方式に移行することなどを主張している。


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