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経営タイムス No.2689 (2003年8月28日)

日本・メキシコの経済連携協定早期締結へ


日本経団連、日本商工会議所、経済同友会、日本貿易会の4団体は5日、「日墨経済連携協定の早期締結を求める」と題する要望書を発表した(8月21日号既報)。同要望では、今年10月に予定されているメキシコのビセンテ・フォックス・ケサーダ大統領の訪日において、両国政府間で経済連携協定に関する基本合意を得るよう指摘している。そこで、交渉の大詰めを迎える日墨経済連携協定の交渉の経緯や取り組みなどを整理<PDF>した。

交渉の経緯と日本経団連などの取り組み

<政府間の取り組み>

2001年6月に訪日したメキシコのフォックス大統領と小泉首相は、両国の産・学・官による「経済関係強化のための日墨共同研究会」の設置に合意。同研究会は1年間にわたる検討の結果、02年7月に「両国の経済関係強化のためには、自由貿易協定(FTA)の要素を含んだ経済連携強化のための協定締結が効果的である」との報告書を発表した。これを受けて、同年10月にメキシコのロス・カボスで開催されたAPEC閣僚会議後に会談した小泉首相とフォックス大統領は、1年程度を目標に実質合意をめざし、日墨EPA(包括的経済連携協定)に関する政府間交渉開始に合意し、翌11月から日墨両国の交渉を開始、03年8月までに首席代表レベル会合(4回)、実務者レベル会合(9回)を実施した。今年10月のフォックス大統領の来日を控え、政府間交渉は大詰めを迎える。

<日本経団連の取り組み>

1999年1月に設置した「日墨協定に関する懇談会」(現座長=上原尚剛・ 三菱商事顧問)において現在、日墨EPA交渉の首席代表レベル会合終了後に政府交渉担当者との会合を定期的に開催し、関係四省庁(外務省、経済産業省、財務省、農林水産省)の担当者から、日墨EPA交渉の進捗状況などについて説明を聞くとともに、意見交換を行っている。また、今年4月には、塙義一・日本メキシコ経済委員長が古川貞二郎官房副長官に対して、日墨EPAの早期締結の必要性を申し入れた。さらに、今月5日には4団体連名で、日本とメキシコが経済連携協定を早期に締結することを求める要望書を発表、日墨EPAの重要性を広く訴えている。

◇ ◇ ◇

メキシコは、FTAを国家の通商戦略の中心に据えており、94年のNAFTA(北米自由貿易協定)、2000年のEUとのFTAなど、すでに30カ国以上とFTAを締結、締結国との経済関係を着実に拡大、強化している。また、メキシコは、日本にとってラテンアメリカ諸国中最大の貿易パートナーであり、最大の投資先でもある。
一方、NAFTA締結以降のメキシコの輸入における日本のシェアは、94年の6.1%から2000年には3.7%に激減し、NAFTA締結直前の対日輸入シェアが維持されたと仮定した場合の逸失利益は約4000億円にのぼると試算されている(「経済関係強化のための日墨共同研究会報告書」)。これは、輸出において、日本企業が平均16%の関税によって、関税のかからない欧米企業との競争に対して、厳しい状況に置かれていることが大きな要因である。さらに、今年5月にフォックス大統領が、メキシコの政府調達への入札をFTA締結国に限定する方針を打ち出したことで、日本企業が国際入札に参加できない状況が生じるなど、大きなビジネスチャンスを失う厳しい局面に立たされており、一刻も早いEPA締結が望まれる。


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