[ 日本経団連 ] [ 機関誌/出版物 ] [ 経営タイムス ]

経営タイムス No.2691 (2003年9月11日)

第51回北海道経済懇談会開く

−日本経団連、道経連が共催/民主導・自律型経済社会の実現などで意見を交換


日本経団連(奥田碩会長)と北海道経済連合会(道経連、泉誠二会長)は4日、北海道・札幌市の札幌グランドホテルで「第51回北海道経済懇談会」を開催した。同懇談会には、奥田会長はじめ日本経団連首脳、北海道経済連合会会員など約160名が参加。「民主導・自律型の経済社会の実現と新たなる北海道の発展に向けて」を基本テーマに、日本経済と北海道が抱える重要課題について意見交換した。

日本経団連・奥田会長、「三位一体の改革」強調

開会あいさつで道経連の泉会長は、北海道経済の現状について、「引き続き北海道経済を取り巻く環境は極めて厳しい」との見方を示した。その一方で、「北海道にはほかにない豊かな自然環境と多様な人材、地域に根ざした独自の研究開発があり、ポテンシャルは極めて高い」と述べ、こうした北海道の独自性を活かして、「日本の持続的発展への貢献と地域の自立的発展という目的意識をもって、民主導・自律型の経済社会の実現をめざしたい」と語った。

続いてあいさつした奥田会長は日本の景気について、「ようやく踊り場を脱し、再び回復軌道を辿り始めた」と述べた一方で、地方経済は依然として厳しい状況にあるとの見方を示した。その上で、「地方は主体性を発揮し、独自の発展を模索していかなければならない」として、国庫補助負担金、地方交付税、税源移譲を三位一体とした改革が急務であると指摘した。
さらに奥田会長は、長期的課題として、日本経団連が年初に発表した新ビジョンで提案した「州制」にも言及し、「全国を5〜10の州に分け、広域的な地域行政を可能とする州制の導入をめざすべきだ」と呼びかけた。

■活動報告

活動報告では、日本経団連の御手洗冨士夫副会長が、7月に成立した会社法改正で、自社株や資本金・法定準備金を機動的に活用できるようになったと説明した上で、日本経団連としては経営の選択肢を拡大し、競争力を高めていくことができるよう同法改正に取り組んでいくと語った。

次に、樋口公啓副会長から、自身が座長を務める「企業と防災に関する特別懇談会」が今年7月にとりまとめた「災害に強い社会の構築に向けて」と題する提言(7月24日号既報)について報告をした上で、「各地の経済団体と防災のための連携を進めていきたい」と呼びかけた。

柴田昌治副会長は最近のエネルギー政策をめぐる動向について、「エネルギー問題に関する検討を進めるとともに、国民各層の理解促進に努める必要がある」と語った。

■自由懇談

自由懇談では、道経連側から、三位一体改革、WTO農業交渉、社会資本整備、産業廃棄物処理の現状と環境税への対応、高度情報通信ネットワークの整備促進――などについて質問があった。

このうち、WTO農業交渉については槙原稔副会長が、メキシコで10日から開催のカンクン閣僚会議が大きなヤマ場になるとした上で、今後は、国内農業の構造改革による競争力強化を前提として、関税を段階的に削減、市場アクセスのさらなる改善に取り組む必要があると述べた。

また、西岡喬副会長は、高度情報通信ネットワークの整備促進について言及し、「ITをもっと活用し、構造改革の推進や新しい価値の創造につなげていくことが不可欠」との考えを示した上で、インフラ整備とITの利活用との間に好循環を作り出すことがポイントではないかと語った。

最後に、総括した奥田会長は「日本全体に閉塞感が漂っているなか、ポジティブな動き・意見が多く、大いに感激した」と今回の懇談会を評した。
また、整備新幹線については、高速交通ネットワーク構築の重要性に理解を示しつつ、「財政が厳しい状況においてどのように財源確保を図るかが大きな課題」と指摘。高速道路については、必要不可欠な社会インフラであり、必要な路線は時間をかけても整備していく必要があると語った。


日本語のトップページ