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経営タイムス No.2692 (2003年9月18日)

16年度税制改正で提言/日本経団連、政府・与党などに建議

−企業の公的負担抑制を要望

−欠損金繰越期間延長など/法人税制見直し提起


日本経団連(奥田碩会長)は12日、「平成16年度税制改正に関する提言」を発表した。社会保障を含めた企業の公的負担抑制や、経済活性化に的を絞った改正を行うよう要望したもの。日本経団連は5月にも「近い将来の税制改革についての提言」を取りまとめ、税制、社会保障制度、国・地方を通じた行財政改革の一体的推進を求めているが、年末の平成16年度税制改正に向けて、今回、改めて提言をまとめ、政府・与党ほか関係方面に建議した。提言の概要は次のとおり。

住宅税制再構築なども

【企業の公的負担抑制が急務】

近年、法人所得課税をめぐっては、法人実効税率引き下げ、連結納税制度などの改革が進められた結果、企業の実質税負担率は低下している。しかし、土地課税負担の高止まりに加え、社会保障負担が増大していることから、租税と社会保障をあわせた公的負担率は依然として高い水準となっている。
とくに、1人当たり社会保障負担が急増しており、企業の競争力に重大な悪影響を与えている。
そこで、今回の提言では企業の公的負担全体の抑制を最大の目標に据え、税財政、社会保障制度の一体的改革を改めて訴えているが、その中で、とりわけ2004年の公的年金制度改革に関する厚生労働省の提案は、個人や企業の保険料の引き上げを先行させるものであり、容認できないことを強調している。

【欠損金繰越期間延長等の法人税制の見直し】

平成16年度の具体的な税制改正項目については、現在、2兆円規模の研究開発減税やIT投資促進税制が実施中であることなどを踏まえれば、法人税率の引き下げや大規模な政策減税の実現は困難な状況にある。そこで、底離れを始めたわが国経済を回復軌道にのせていくために、確実に効果の見込める税制改正を求めている。法人税制については、欠損金の繰越期間の延長、減価償却制度の見直し、産業再生・不良債権処理に伴う税制など、かねてからの重要課題の実現を掲げている。
また、連結付加税の確実な撤廃が重要課題である。

【住宅税制の再構築】

本年末で期限切れとなる住宅ローン減税については、単なる延長だけでなく、現在は対象外となっている自己資金による投資も対象とした「住宅投資税制」として抜本的に再構築する必要がある。

【年金税制の抜本的見直し】

2004年の公的年金制度改革の一環として、拠出時・運用時非課税、給付時課税の原則を徹底するための見直しが必要である。企業年金の資産運用時にかかる特別法人税の撤廃、公的年金等控除の原則廃止、確定拠出年金の拠出限度額の引き上げ等が不可欠である。

【固定資産税の負担水準引き下げ】

バブル崩壊後の地価下落の一方で、固定資産税の負担は都市部の商業地や臨海部の工業用地で高止まりしており、引き続き、固定資産税の負担水準の引き下げが課題となっている。

【外形標準課税の再検討】

2004年4月施行予定の法人事業税の外形標準課税は、雇用の維持や企業の事業再編を阻害するなど極めて問題が多く、導入時期もあわせて、制度自体を根本的に再検討する必要がある。

【環境税論議は本末転倒】

地球温暖化対策については、まずは、地球温暖化対策推進大綱における施策の着実な推進が先決であり、現時点で税のみを取り出して先行的に議論することは本末転倒である。


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