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経営タイムス No.2695 (2003年10月9日)

日本経団連など経済3団体、中川経済産業相らと懇談し意見交換

−日本経団連・奥田会長、経済活性化など尽力要請/中川経産相、経済再生対策で抱負表明

−経済団体代表、経済界の要望提示


日本経団連、日本商工会議所、経済同友会の経済3団体は3日、都内のホテルで中川昭一・経済産業大臣との懇談会を開催した。同懇談会には経済3団体から奥田碩・日本経団連会長はじめ、山口信夫・日商会頭、北城恪太郎・経済同友会代表幹事らが、経済産業省から中川大臣はじめ、坂本剛二副大臣、泉信也副大臣、江田康幸大臣政務官らが出席。経済情勢や当面の課題、今後の経済運営などについて意見交換を行なった。

懇談会の冒頭に、奥田会長は「景気は回復軌道に乗っているが、基調としては不安定だ。中川大臣には、経済・産業の活性化に向けてご尽力いただきたい」とあいさつ。これを受けて中川大臣も、「デフレの中で、経済はまだ安心できる状況にない。頑張っている企業もあるが、全体的にはまだ不安定」との見方を示すとともに、日本経済の当面の問題として、設備投資、雇用状況、地域格差、自然災害の影響を挙げた。その上で「小泉内閣は構造改革、経済再生対策に取り組んでいる。私も先頭に立って頑張っていきたい」と抱負を語った。
さらに中川大臣は、自由貿易協定(FTA)に関して、「貿易立国の日本にもかかわらず、FTAは遅れている。もはやその良し悪しを論じている時期ではない。譲れないものは譲れないが、譲るべきは譲っていく姿勢で臨むべきだ」として、FTA締結促進の必要性を強調した。

次に経済団体の意見表明に移り、当面の経済運営と構造改革、社会保障、環境税、地域・中小企業対策、起業・創業支援、FTA、北京・上海間の高速鉄道――の諸問題について、各団体代表が経済界の要望を中川大臣に伝えた。
このうち経済運営と構造改革の問題については、「構造改革は着実に進んでいるが、それがすぐに経済に影響を与えるわけではない。総需要の拡大がきわめて重要だ」との意見、社会保障問題については、「社会保障の国民負担が増えるのは仕方がないが、詳細がわからず、国民の不安が高まっている。十分な手続きを踏み、検討してほしい」「年金の負担は非常に大きい。持続可能な制度にすべきだ」などの意見が出た。
また、環境税については、「経済・環境面のバランスをとらないと企業の国際競争力が保てない」「産業全体の競争力に係わることなので、これを殺ぐことのないようにしなければならない」と指摘。地域・中小企業対策、起業・創業支援については税制・金融面での一層の配慮を、北京・上海間の高速鉄道については、日本の新幹線方式導入推進へ向けてファイナンス面などでの協力を要請した。
FTAについては「メキシコとのFTA締結が、今後の試金石になる」「大臣は農水問題にも精通しているのだからアメリカの通商代表部のような立場に立って各省をまとめてもらいたい」との声が上がった。

これを受けて中川大臣は、基本的には経済団体と同じような問題意識を持っているとした上で、環境税については、「一部の経済セクターや一国だけがハンデを負わぬようにしたい。まず税ありきではなく、環境を良くするために何ができるかを考えるべきだ」と述べた。
また、FTAについては、フォックス・メキシコ大統領来日に向け、調整を進めていることを強調した。


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