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経営タイムス No.2696 (2003年10月16日)

日本経団連など5団体、フォックス・メキシコ大統領招き歓迎昼食会開催

−日本経団連・奥田会長、日墨EPAの重要性強調

−フォックス大統領、早期締結への意欲を示す


日本経団連、日本商工会議所、経済同友会、日本貿易会、日本メキシコ経済委員会は15日、東京・大手町の経団連会館で、国賓として来日したメキシコ合衆国のビセンテ・フォックス・ケサーダ大統領の歓迎昼食会を開催した。冒頭あいさつで奥田碩・日本経団連会長は、日墨間で交渉中の自由貿易協定(FTA)の要素を含む経済連携協定(EPA)の重要性を強調。協定の早期締結により、両国の経済関係が一層強化されることを望む考えを示した。これに対しフォックス大統領も、日墨EPAの持つ意義について同意し、早期締結に意欲を見せた。

大統領と参加者の意見交換も

主催者を代表してあいさつに立った奥田会長は、1994年の北米自由貿易協定(NAFTA)、2000年のEUなど、すでに30カ国以上とFTAを締結しているメキシコを「FTAの先進国」と評価、「WTO交渉が難しさを増す中、メキシコの前向きで戦略的な通商政策を日本も見習う必要がある」と述べた。さらに、中南米諸国を包括する米州自由貿易地域(FTAA)が2005年に発効すれば、「メキシコは北米と南米を結ぶ掛け橋となる」とメキシコの国際的な役割がより重要になるとの見解を示した。
その上で奥田会長は、日本とメキシコの長い友好関係を背景に、日本から300社以上の企業が進出、経済関係の着実な強化が図られている一方で、メキシコとFTAを締結していない日本の企業が関税や政府調達などの面で、締結国との競争上、不利な立場に立たされている現状を指摘。こうした状況を打開するため、昨年から両国間でEPAに関する政府間交渉が進められてきたことについて奥田会長は、「協定はわが国にとって(農産品など)センシティブな分野の難しい交渉を含んだ、初めての本格的なFTA。今後、アジア諸国との協定交渉にあたっての大きな試金石でもある」との見方を示した。さらに、日墨EPAについて「両国のポテンシャルにふさわしい経済関係構築のため、大きな役割を果たすことを願う」と述べ、その早期締結に期待感を表明した。
最後に奥田会長は「日本の経済界として今後もメキシコを重視し、貿易や投資の促進に取り組んでいきたい。その意味で投資先のメキシコの魅力を一層高めるため、引き続き投資環境の整備に努めてほしい」と結んだ。

■意見交換

そのほか、2名の参加者が発言、フォックス大統領と意見交換を行った。まず、上原尚剛・三菱商事顧問が、今年5月からメキシコの政府調達対象企業がFTA締結国の企業に限定されたのは問題であるとの意見を述べたのに対して大統領は、「EPA交渉中である日本に対しては、入札に参加できるように、柔軟な措置を行なっている」と説明した。

また、御手洗顕・シャープ常務取締役東京支社長は、メキシコへの投資を促進するために、(1)中長期的に安定した税制 (2)賃金コストが過度に高くならぬような労働法の見直し (3)治安の向上――の3点の整備を挙げた。これについて大統領は、「メキシコに進出し、メキシコから輸出を行っている企業に対しては、大胆な規制緩和や税制優遇措置を講じている」として、メキシコ側の努力に理解を求めた。

また、上原、御手洗両氏がそろって日墨FTA早期締結を要望したことを受けフォックス大統領は、「両国によるここ1年間の交渉によって合意に近づいている」とした上で、「食品、農産品という極めて難しい分野が残っているが、早く合意できるよう努力を重ねている」と応えた。

◇ ◇ ◇

フォックス大統領歓迎昼食会には、日本側からは奥田会長、山口信夫・日本商工会議所会頭、北城恪太郎・経済同友会代表幹事、宮原賢次・日本貿易会会長、塙義一・日本メキシコ経済委員長、メキシコ側からは、カナレス経済大臣、デルべス外務大臣、イカサ駐日大使のほか両国関係者約120名が出席した。


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