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経営タイムス No.2700 (2003年11月20日)

日本経団連、北経連、第30回北陸地方経済懇談会を開催

−社会資本整備促進など−

−民主導・自律型経済社会の実現/北陸経済の発展策探る


日本経団連(奥田碩会長)と北陸経済連合会(山田圭藏会長)は12日、福井市内のホテルで第30回北陸地方経済懇談会を開催した。日本経団連と北経連の加盟企業のトップら約90名が参加、「民主導・自律型の経済社会の実現と北陸経済の発展に向けて」を基本テーマに、社会資本整備の促進や新技術・新産業の創出、広域観光、地方分権、環境税などについて意見を交換した。

あいさつに立った奥田会長は、「官から民へ」「国から地方へ」を基本とする小泉内閣の構造改革をさらに加速するための重要課題として、(1)地方の自律と活性化 (2)社会保障や財政、税制の持続可能な制度への再構築 (3)グローバル競争を勝ち抜くための環境整備――を挙げた。このうち、地方の活性化については、構造改革特区が地域に根ざした新産業創出の起爆剤となるとの考えを示した。

さらに奥田会長は、今月9日の総選挙において与野党間で活発な政策論争が行われたことから、日本経団連が掲げている政策本位の政治へ一歩前進したと評価するとともに、日本経団連が5月に発表した政策評価に基づく政治寄付への理解と協力を呼びかけた。

■活動報告

次に、日本経団連側から、税制改正をめぐる動きや最近のエネルギー政策をめぐる動向、政治への取り組みについて、また、北経連側から、社会資本整備の促進や新技術・新産業の創出・支援、広域連携による共同事業の推進について、それぞれ報告を行った。

このなかで西室泰三副会長は、来年の公的年金制度改革について、「社会保障1%増は法人税4%増と同じ」と指摘、社会保障費の増加が企業に悪影響を与えると懸念を表した。

柴田昌治副会長は、東京電力の原子力発電所停止による今夏の関東圏の需給逼迫問題と、8月のニューヨーク大停電を例に挙げ、現代社会の脆弱性とエネルギー政策の重要性を指摘した。

宮原賢次副会長は、日本経団連が5月に発表した政党の政策評価に基づく政治寄付について、9月に10項目からなる優先政策事項を発表、初年度の評価は年内を目途にとりまとめる予定であると述べた。

■自由討議

自由討議では、北経連側から、「環境税は既存の諸税との兼ね合いを含めた税制全般の総合的見地から検討されるべき」「新技術・新産業の創出に向けたキーワードは産学官連携の推進」「環日本海交流の玄関口として、北陸新幹線を中心とした社会資本整備が必要。日本経団連に政府関係機関への働きかけをお願いしたい」など、日本経団連に意見や要望が出された。

これに対して千速晃副会長は環境税について、既存エネルギー税制と調整なく導入されることは多重課税となるなど多くの問題点があるとし、「日本経団連で反対意見をとりまとめ政府与党に発信していきたい」と語った。

西岡喬副会長は、産学官連携サミット(別掲参照)を主催するなど、日本経団連の産学官連携への取り組みを説明するとともに、日本経団連として今後も協力していく意向を表明した。

最後に、同懇談会を総括した奥田会長は、(1)税制 (2)地方分権 (3)社会資本整備――が大きな問題であるとし、特に整備新幹線など社会資本整備については、地方自律の観点から重要であると理解を示した。


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