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経営タイムス No.2700 (2003年11月20日)

「抜本改革なき厚生年金保険料率の引き上げに反対する」

−日本経団連など4団体、共同声明を発表


日本経団連は18日、日本商工会議所(山口信夫会頭)と経済同友会(北城恪太郎代表幹事)、関西経済連合会(秋山喜久会長)と共同で、「抜本改革なき厚生年金保険料率の引き上げに反対する」と題する声明を発表した。

同声明は、2004年の公的年金改革について、現行の保険料率(13.58%=労使折半)の20%への引き上げの法定化などの内容を盛り込んだ厚生労働省案が17日に発表されたことに対し、経済界としての見解を示したもの。年金給付の抑制や基礎年金の税方式化などの抜本改革の展望がないままでの保険料率の引き上げ法定化に絶対反対するとの声明のほか、当面の改革として基礎年金の国庫負担割合を2分の1にするための道筋を明確にすることや、税・財政・社会保障の一体的改革案を国民に示して結論を得るべきことなどを示し、国民や関係者への理解を求めている。
また、同声明は、2004年の公的年金改革にあたって、公的年金制度に対する国民の信頼を回復し、持続可能性を高める視点が不可欠であると指摘。そのために、厚生年金保険料の増加をできる限り抑制して現役世代の過重な負担を回避することや、年金給付を段階的に抑制して世代間の給付と負担の格差を是正すること、世代内の公平の観点から基礎年金を税方式化する抜本改革を断行すべきであると主張している。

一方、厚生労働省案については、抜本改革を行わずに厚生年金保険料率の将来の引き上げを法定しようとしていると指摘した上で、保険料を負担する現在および将来の勤労者と企業の活力を殺ぐことになると警鐘を鳴らしている。
また、厚生年金が強制加入の制度であることから、保険料が実質的に賃金課税に等しいことを挙げ、保険料率引き上げが雇用コストを上昇させ、日本企業の競争力を低下させるだけでなく、新規雇用へ悪影響を与えると予測。年金財政だけでなく、日本経済全体に一層、深刻な影響を与えるとの懸念を示している。

さらに同声明は、年金制度改革だけを先行して決めるべきではないとした上で、将来の潜在的国民負担率を50%程度までにとどめるよう、税・財政・社会保障全体の改革をパッケージにして国民に示し結論を得るべきであるとしている。


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